調達原論3【18回目一RFI(Request for information:情報提供依頼)とRFP(Request for proposal:提案依頼)】
18「RFI(Request for information:情報提供依頼)とRFP(Request for proposal:提案依頼)」
あなたにとって必要な条件とは何か?
RFIとは、各社の財務情報・生産工場立地を含む基本事項や、取引条件、取扱製品、品質管理体制等をサプライヤーから提供してもらうものです。また、RFPは、バイヤー企業が製品に求める仕様や条件を伝え、それに対する提案をもらうものになります。また、これに次節で説明するRFQ(Request for quotation:見積り依頼)をあわせた三つがRFxと呼ばれるものです。
横文字だからといって難しく感じることはありません。バイヤーが日々やっている「サプライヤーを探して、見積りを依頼するまでのプロセス」を区分したものです。
一般的には、RFIでサプライヤーを鳥瞰し、RFPで数を絞り、RFQで本命数社にあたります。このプロセスは前後するときも多いでしょう。
たとえば、新規サプライヤーであれば、まず見積りを入手してみて、そこから安価な場合にはよりコストが下がる仕様を求め、それで上手くいけば取引条件などを討議し、取引につなげる――という例があります。と思えば、RFIからのプロセスを教義のように守る調達・購買部門もある。
前者が間違っていて、後者が正しいのでしょうか。そうではありません。このRFxの行為そのものが、調達・購買部門の、そしてバイヤーの思想を結実させたものだととらえるべきなのです。あるいは、価値観の表出といってもいい。
バイヤーの行為はすべて、現状と目的の径庭を埋めるものでなければいけません。どうプロセスを正しく実行するかではなく、そのプロセスが「何のためにあるのか」という問いをまず立てねばならないのです。
何よりもコストが大事ならば、他を秤量せず、真っ先にRFQにより見積りを入手し、最安値のサプライヤーに対して、「取引条件はこうしよう」「品質管理体制はこうしてほしい」と逆算してあたるべきなのです。バイヤーの業績をあげるために、サプライヤーからの仕様提案額こそが大切であれば、他の条件を看過し、それを求めるべきでしょう。一方、確実な経営体質から生み出される製品を欲するのであれば、定期的にRFIを繰り返して、教科書的な調達に努めるべきでしょう。コストがたとえ他社よりも半額以下であっても、自社の半径50km以上のところにあるところとはつきあわない(これは緊急納期対応を最上位価値に置くバイヤー企業において実際にある例です)のであれば、ロケーションと生産管理体制こそこだわるでしょう。
これは原理主義者的な発言ではあります。しかし、プロセスばかりに目を奪われ、本来の目的を喪失したまま調達に携わることこそ危険だと私は信じるのです。
もしかすると、あなたは一般的なフォーマットを使用していませんか? 自社と自分の価値観に染まっていないフォーマットなど、すぐに燃やすべきなのです。