調達原論【32回目】サプライチェーン全体の見直し

調達・購買の「戦略」を違う言葉でいうと何か。「無数の類似企業がいるなかで、自社がダントツになるために、資材調達を通じてやれること」だろう。そのためには、まずライバルの方法を調べ、それを超越する必要がある。

調達・購買業務の根源的な見直し方法として、他社とのベンチマーク手法がある。これは、バリューチェーン全体の特徴を、ライバル他社と比較するものだ。それは、調達・購買のみならず、周辺業務を含む。企業の最終目的は理念から導き出される。そして、多くの場合、調達・購買のミッションは自社利益率の上昇だろう。とすれば、製造原価にしめる調達・購買品の原価率が高かったとしても、それより、自社の生産コストを引き下げられれば問題はない。他社は、外注比率を引き上げながら、自社生産コストを引き下げているかもしれない。あるいは、他社は国内サプライヤ信仰を持たず、安価な海外製品を採用しているかもしれない。そういったことがベンチマークから明らかになる。

逆もある。他社と比べて、たとえば、高価な原材料を使用していたとき、それゆえに顧客満足度が高いことがわかれば無理に低スペックにする必要はない。

改善すべきポイントがわかれば、肝要なのは「まとめ思考」だ。これまで、調達・購買部門はサプライヤと部品をまとめようとしていた。これから、グループ会社全体をまとめる思考が必要だ。グループ全体を巻き込み、原材料等の購買ボリューム増を図り、強い交渉力につなげられないか。価格情報などの共有ができないか。情報通信が容易になったのに、グループ企業間の情報交換がほとんどなされていないことはある意味、驚愕してしまうほどだからだ。

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