調達原論【31回目】VAとVEとほんとうの開発購買
自社内ユーザー部門が提示してくる仕様書を適正化する。これが一歩進んだ調達・購買であるのは間違いない。ところで、調達・購買部門の不満として、よく「設計開発部門がコスト削減のアイディアを受け入れてくれない」というものがある。しかし、残念ながら私に相談のある大半はあまりに低レベルで、思いつきや、サプライヤのアイディア盗用にすぎず、採用されないレベルにある。開発購買だとか上流購買だとか流行りの言葉よりもまずは技術的な学習をすべきだろう。そのうえで、VEの概念を示す有名な方程式がある。
解説は不要かもしれない。V(価値)をあげるためには、F(機能)をあげるか、C(コスト)を下げればいい。また、VEは段階によって、ゼロルックVE、ファーストルックVE、セカンドルックVEにわかれる。企画時点がゼロルックで、設計後がファーストルックで、製造後がセカンドルックとなる。もちろん初期段階ほどコストを左右する率は大きくなる。
ところで、無数のVE推進本が出ているものの、調達・購買に特化したものは少ない。そこで調達・購買部員ができる単純な二点を紹介したい。
- 仕様アップの履歴はあるか:過去の設計変更を再点検してみよう。途中段階では必要だった仕様アップが不要になっているかもしれない
- ロットサイズは適切か:開発段階で討議したロットサイズ以下で納品してもらえるかもしれない
VEと呼ぶより低レベルかもしれない。しかし余らせるより、ロットサイズを下げたほうがいい。それくらいの根源を見直せるのは調達・購買部門しかない。