調達原論【11回目】寡占分析

サプライヤが特定品目を独占していたらどうするか。交渉もやりにくく、代替サプライヤもいない以上、価格は下がりにくい。対策は、凡庸だが、その原因を把握しなければ始まらない。ただ、あるサプライヤが品目を独占している場合、現場の調達担当者に訊いても「おそらく技術的理由」としか答えられない。そこで有効なのが、寡占/独占時の品目分析マトリクスだ。これは、代替製品の有り無しと、製品領域・環境理由によるものかで分析する。

この分析によって、具体的に何が問題で寡占状態になっているかをつきとめ、対策を考える。たとえば、サプライヤを切り替えるスイッチングコスト(試験費用や客先認定、取引口座開設費用等)が高いとする。その場合、それらの低減を図らねば、新規サプライヤ参入はありえない。

また代替サプライヤ候補がグローバル展開できないかもしれない。その際は、各国のアライアンスパートナーなどを見つけてもらうしかない。このように、対策は個別で多様だ。

分析の結果、サプライヤ側の問題なのか、あるいはバイヤー側(自社側)の問題なのかを明確にする。もちろん複合的な事例もある。それを解決する価値のある品目か。あるいは意図的に寡占を許しておくかも、戦略的意思決定だ。

ただし重要なのは、完全に独立・寡占になるべき理由は存在しないと知ることだ。なぜならば、独立・寡占サプライヤが倒産したとする。そのときに、対策を取らないはずはない。また、いまだに「古くからのおつきあいですから」という理由のみで寡占を許す企業がいまだに存在することに、私は唖然とする。

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