調達原論【12回目】価格交渉の攻めどころ

サプライヤと価格交渉をするときに、何が狙いどころになるだろう。もちろん品目によるとしかいえない。ただ考えれば自明のとおり、高利益のサプライヤであれば利益を削る余地があり、逆に製造原価が高コスト体質のサプライヤであれば工程改善を指導したり一緒に取り組んだりすべきだろう。

日本の製造業平均値をご存知だろうか。売上高を100とすると、製造原価が80で、売上総利益(粗利益)が20だ。製造原価は、材料費や労務費、設備の減価償却費等を指す。いわゆる工場で発生するコストだ。売上総利益から販売費及び一般管理費を差し引いて、営業利益としては4~5くらいを残す。

いささか強引だが、100円の製品があったとしたら、製造原価80円を1.25倍し客先に売っている。そして他のコストを引いて、なんとか4~5円を会社に残しているかっこうだ。とはいえ、この1.25倍という掛け率は、おそらくあなたが受け取っている見積書よりもだいぶ高いのではないか。

見積書が正しい製造原価を反映していない事例が散見される。見積書は分析と交渉のベースとなるものだ。しかし、それが「虚偽」記載されていては、つまずく。製造原価の1.25倍はけっして暴利ではない。ただ、それほどの粗利益を確保していると、サプライヤからは言い難い事情もあるだろう。だから、まずはサプライヤと真摯に向き合って、正確な姿を開示してもらうべきだ。

なお、「オープンポリシー」という言葉がある。原価明細をオープンにしたサプライヤと優先的につきあう取り組みだ。短期的ならともかく、中長期的には「裸」を見せたほうが両社を利する。少なくとも私はそう信じている。

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