調達原論【13回目】価格比較の勘所
サプライヤから見積書をもらう。その際、原価明細を確認する重要性について前回述べた。もう一つ重要なのは、その価格について相対的に比較することだ。その対象は、過去実績と、そして他社の二つだ。
これまで調達部門は、さまざまな手法を生み出してきた。そのなかでもっとも汎用的なものは、「コストドライバー分析」と「コスト構造分析」の二つだ。要点を述べよう。
まず、前者は価格を決定する要素のうち、何か一つに注目して妥当性を検証するものだ。たとえば、あなたが産業用電源装置を調達しているとしよう。そのとき、実際は、価格を構成する無数の要素があるが、あえてW数に注目してみるのだ。これまでの調達履歴をざっと洗い出し、価格とともにその電源装置のスペックを書き出してみる。そうすると、W数と価格は比例的な関係にあるかもしれない。たとえば、W数に1000円をかけた数が価格と近似しているかもしれない。それがわかれば、これから未知の電源装置を購入するときにも目安になるはずだ。価格交渉にも役立つ。
たいして後者は、すべての要素を積み上げるものだ。たとえば、さきほどの電源装置の例でいえば、その電源装置を生産する際に生じる、材料費と労務費と設備加工費と、外部購入部品と、金型費……などすべて計算するのだ。そうすれば、コストドライバー分析より正確な値が出るのは間違いない。ただし、考えてもわかるとおり時間がかかる。
一般品をコストドライバー分析、重要品をコスト鋼構造分析がふさわしい。