調達原論2【8回目一歩進んだ調達業務改善】VAとVE

VAとVEは、正しくは「Value Analysis(価値分析)」「Value Engineering(価値工学)」の略であり、二つの意味は異なる。ただ、ここでは調達・購買業務のなかで「既存価格を下げるアイディア」として意味を付与する。

多くの場合、サプライヤからVAやVE案をもらう。そこで調達・購買担当者は「VA/VE提案依頼書」を送付する。そのとき気をつけるべきは、単に提案をもらわないことだ。「VA/VE提案」の件数を目標としてしまえば、その件数だけを満たそうとする。だから世の中の調達・購買担当者がもらう提案は、「塗装廃止」とか「製品の標準化」とか、とても採用できないクズ案ばかりとなる。悲劇というより喜劇なのは、採用されないとわかりつつ、調達・購買担当者に忖度して書類を作成することだろう。

そこで私は、ただただVA/VE案を募るのではなく、定義と優先順位付けをすべきといっている。「①工程改善・工程改良・生産性向上→②外注費・購入材料・購入部品コスト削減→③発注・物流条件変更→④仕様・設計変更」だ。

①と②はサプライヤだけでも実施できる。ただ、③と④は自社とサプライヤが取り組まねばならない。そして①~④をまんべんなく提案してもらえるように伝えておく。そうすると④だけの無理筋の案のみが届くことはなくなる。そして、難易度は①④が高く、②③は比較的低い。

言い方を替えれば、サプライヤ難易度が高いものを真っ先に出してもらい、バイヤー側難易度が高いものは最後に検討いただく。ちょっとズルいものの、とにかくVA/VEの実績をほしい場合は有効だ。

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