10-4 購買部門バイヤー評価 ~エクセレントバイヤーに花束を 「購買改革のためのバイヤー評価法」~

これらの詐欺に対する私の回答はいたってシンプルだ。

 

(1)購入を開始してから1 年間はコストダウン対象としてカウントしない。全ての製品を購入開始1 年後からのカウント対象とすることで、それ以後安くなった分はバイヤーの成果として評価する制度を創り上げること。同時に初めて購入しようとするのに、コストダウンとしてカウントするのは避ける。

 

(2)製品分野ごとのコストダウン目標を別々に管理すること。半導体のように毎年毎年自動的に下がる領域と、プレス部品のように中々下がらない領域を同じ%で管理している会社が多すぎる。これらは今までの傾向を元に、正確に「このバイヤーが頑張ったから下がったのか」「単なる市場動向」なのかを判断する尺度を持つ。だから、ある領域でバイヤーが10%下げているよりも違う領域でバイヤーが5%下げていることの方が評価をされることがあってもいい。単なる%ではなく、その業界ごとに異なる指標を持つ。そしてバイヤーのがんばりを正確に評価してあげる。

 

(1)(2)ともマネジメントの領域であり、これらは多くの会社ではマネージャーの意識改革に期待するほかない。実は、さきほど上げた悪質な例は多かれ少なかれどこの会社でもやっている。そしてそれはほとんどの場合、購買部の存在意義を証明するというそれだけの目的のために莫大な時間を使ってしまっている。バイヤーにしても、虚偽の成果などしても仕方ない、という認識を持つべきだ。結局会社の支出が変わっていなければ、全く意味がない。もしあなたが社長だったとして、会社の支出が変化しないことに注力するバイヤーにどれだけの意義を感じるだろうか。あなたがヘッドハンターだったとして、全く意味の無い交渉ばかり続けているバイヤーにどれだけの市場価値をつけるだろうか。

 

短期間に自分の評価が低かったとしても、純粋に下げたコストを自己認識することは大切だ。自分の実力でいったいどれだけの成果を上げることができたのか。それをはっきり認識することが大切だ。それに、虚偽の報告など、今の会社でしか通じず、外に出たら何も通用しない。どこでも通用する泥臭いことをやろう。そして、本当にコストが下がる活動をして、本当に会社の支出が減ることに寄与するバイヤーにならなければいけない。

 

サプライヤが持ってくる見積りをベースに適当に交渉をして、報告のことだけを考えていたら、決して理想のバイヤーになれるはずもない。サプライヤの見積りを赤鉛筆で勘と経験で査定して、「いっちょうあがり」ではいけない。何もないところから一からロジックで積み上げる訓練と心構えがなければ、常に他人の土俵の上でしか勝負はできない。

 

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