1-5 調達・購買戦略の基本と要件
●このテーマのポイント:
1.調達・購買戦略の重要性と必要条件
2.調達・購買戦略が企業内外に与える影響
3.サプライヤーとの協力と情報共有の重要性
調達・購買業務について理解を深め、興味をもち、積極的に遂行するキッカケを提供するために、戦略的な視点で調達・購買戦略の要点を説明します。
戦略とは、勝利を目指し、計画立案を指します。調達・購買戦略もまた、企業が成功するために不可欠で、企業業績に大きな影響を与えます。この戦略の位置づけと必要条件について見てみましょう。
調達・購買戦略は企業内で下流に位置し、企業の事業戦略を実現するための要素です。具体的には次の5つの要件があります。
(1)現実的な目標設定: 戦略は実現可能で市場で競争力を保つためのものであるべきです。
(2)数値化と検証: 戦略は数値化でき、検証可能な指標をもつべきで、感情論に頼るべきではありません。
(3)具体性: 抽象的なアイデアではなく、調達・購買部門が実行可能な具体的な内容であるべきです。
(4)持続性と展開性: 戦略は継続的に適用可能で、サプライヤーにも影響を及ぼすべきです。
(5)統合性: 他の部門との連携を考慮し、全体最適を追求する内容であるべきです。
調達・購買戦略の影響範囲
調達・購買戦略は部門内で立案されますが、全体の戦略と調和する必要があります。営業や技術など上流の部門との連携が不可欠で、これが戦略立案の難しさとなります。すべての企業は、社内関連部門が必要としないものは調達できないことを理解すべきです。
調達・購買戦略は、サプライヤーにも影響を及ぼします。高額な購買や共同開発を行うサプライヤーは、戦略を共有し、強固な協力関係を築く傾向があります。この協力関係は情報共有にも関連し、将来の方向性を検討し、業界情報を共有することで、より効果的な情報収集が可能です。限定的なサプライヤーとの協力は、その根拠を問い続け、高い貢献度をもつサプライヤーとの協力に焦点を当てることが重要です。
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