8-4.電子調達 ~そんな電子調達に騙されて! 「新しい購買のIT活用法」~

さらに、もっと幼稚な例だが、FAX の件だ。

 

サプライヤへのFAX 送付の時間と手間を削減したかった私は、これもシステム関係の部署に相談した。その回答は「すぐには難しい」であった。しかし、パソコンにインストールするソフトを購入してみたら、あっさりとパソコンからダイレクトに相手先のFAX に送信ができた。わずか1,980 円だった。

 

これにより、いちいちプリントアウトしてFAXしていた書類を削減でき、しかもこちらはパソコン上で相手からのFAXを受信できそのまま電子ファイルとして保存できるという利便性も得ることができた。それにしても、私が自前で作った仕組みをシステム屋から作ってもらったらどれくらいの費用がかかっただろう。

 

そして日本中で、これまで一体どれくらいのシステム費用がムダになってきたのだろうか?ほんのちょっとした工夫で業務はシステム化できるのだ。そういうことを知らずに多くの企業ではシステム化により多くの浪費をしてしまっている。ただ、これは正確には「システムを導入するのが悪い」のではなく、「導入の仕方を見極めることができずに失敗した」からだと言い直さねばならないだろう。

 

国際的な企業で電子調達を導入して成功した例はさかんに雑誌等で取り上げられているが、それはツールそのものの優位性というよりも、使いこなし方の優位性と正しく評するべきだろう。当然、日本でも電子調達を活用した方が効率化な分野は多い。それに、標準化できる仕事はまだまだいくらでもある。

 

そして当たり前ながら、ただ単に電子調達を導入してもコストは下がるはずはないのだ。リバースオークションもe 調達もコストダウンを実現する魔法の杖ではない。それは、確固とした各購買部の仕事のやり方がある上に構築されるべきだ。そして私の例で分かるように、それは大掛かりなシステムをもってのみ実現することでもなく、些細な改善の組み合わせで実行できることもある。大掛かりな仕組みがどうしても必要なときは、それを使えばいい。結局はそれだけの話だ。まずはそこを見極めて、成果を上げるべきなのだ。

 

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