8-3.電子調達 ~そんな電子調達に騙されて! 「新しい購買のIT活用法」~

ここまで書いて、私はインターネットやe 調達を否定しようとしているのだろうか。

 

確かに、インターネットやe 調達の負の面を多く書いてきた。しかし、このような千の否定のあとに、あえて言おう。インターネットやe 調達は有効である、と。これは皮肉ではない。そのようなものを否定してはもはや業務スピードが立ち行かない時期にまで来ているということは前提として持っておくべきなのだ。

 

それは当然なのだ。考えてみれば、一昔前の紙伝票を一枚一枚書いていた時代を思い出せば、そのスピードアップはすごいものだ。紙の伝票を未だに使っている企業には悪いが、電子伝票を使ってしまえば、もう昔に遡ることなどできない。私が言いたいのは単純で、「インターネットやe 調達は、使用できる範囲を明確にし、限界を見極めて有効な使い方をしよう」ということだけだ。

 

そして「大金を使わずとも、もっと簡単に効率化できるところがある」ということだけだ。リバースオークションの件であれば、手段がどうであれ「コストの妥当性」をより突っ込んで査定していくのが筋であったし、それは決して表面上の書類審査や評価試験で終わらせるべきものではなかった。見積りの交渉だけでなく、今後長期的な付き合いをしていくサプライヤの1 社として文化とも呼ぶべき企業体質をより深く理解しようとする努力とプロセスが不足していた。

 

そのような当然のプロセス整備と考え方の整理があるというのが前提だったのだ。その前提があればあるほど、その業務を加速化するという意味でITのツールは非常に有効になっていく。逆に、伝票の例のようにプロセスが決まりきったものであれば、ITを使わねば多くの機械損失を被ることになる。

 

例えば、私は以前、自社からの発注品の全てに対してサプライヤからの回答納期を入手するという仕事をやっていた。莫大な量の発注履歴。csv ファイルで毎日多量におちてきていた。それをエクセルで発注先ごとに並び替えて、不要な情報を削除し、発注先ごとに別ファイルを作り毎日送付するのだ。そして、期日までにサプライヤから回答納期を入手し、それを生産管理の人たちへ送付していた。毎日が決まりきった作業で死にそうだった。

 

「バカげている。これは自動化できる」。単純にそう思った私は、社内のシステム関係の部署に見積を依頼した。購買部への請求としてお金を払う必要が出てくるからだった。しかし、その見積の方がもっとバカげていた。「6 百万円」。見積にはそう記載されていた。「一体どうやったら、こんなに高額になるのか」。と思った私は、しかたなく書店に行ってVB関係の本を数冊購入した。

 

そしてやってみると稚拙ながら、CSV ファイルを自動的にサプライヤごとに分別し、不要な情報を削除し、しかも自動的にサプライヤにメールで送付するまで完成した。わずか6,800 円だった。これにより業務は劇的に改善し、私は空いた時間をサプライヤの工程監査に使うことになる。

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