3-4.サプライヤ評価 ~あなたのサプライヤになりたい 「新しい購買のサプライヤ選定革命」~
このような会社に属せばならぬ人々に心から同情申し上げる。
しかし、話の筋を戻すと、このようなサプライヤであるならば、その特性を広く知り、その上で購入を決定できなかった私の責任ということもできる。あくまでも取引関係は平等なのだから、お互いがお互いの体質を知り。それにお互いが納得した上で取引を開始すべきだったのだ。
いや、もっとひどいのは、何度も何度も熱心に売り込みに来たカスタムIC を、採用の数ヵ月後に生産中止にし「保守費用」などという訳の分からない代金を請求してきたサプライヤだ。さらには、「追加オーダーは5,000 個単位になる」とかなんたら。売り込みにきたときにはそういうことは全く言ってもいなかったくせに、そういう状況になると突然正論を言い出したりする。「普通は、カスタムIC なんて何千個単位でしか生産なんてできないってことくらいご存知でしょう」なんて言うのだ。
そして、しぶしぶ発注にOK を出すと、挙句の果てに「一括納入しかできません。こちらに品質保証できるような保管する場所がありませんので」と付け加える。こちらにもそのような保管庫がないことなど、そのサプライヤは気にする気配すらない。その他には・・・・。いや、止めておこう。これは、自省の意味も込めて述べた。いずれにせよ言いたいのは、表面的な見積りコストや、その他一部の要因だけでサプライヤを決定していると、こういうことが起こってもおかしくはないということだ。
これまで多くのバイヤーたちは、各サプライヤを客観的に評価しようと様々な手法考えてきた。広い目で、本当によいサプライヤは一体どこなのかということを見つけようと日々努力してきた。しかし、サプライヤの評価を、どうしても表面上の数値だけで判断してしまうことがよくある。QCDD と誰もがよく言う。Quality は、直近の納入不具合と市場クレームをまとめあげる。Cost は、競合で目標コスト以下かどうかをまとめあげる。
Delivery は納入遅れがないかをまとめあげる。Development は開発体制の優劣、技術力を判断してまとめあげる。この、それぞれに点数をつけて総合的にサプライヤを見てみよう、という手法は多くの企業で採用されているし、多くの研修でも学ぶことが多くなった。しかし、本当にそれだけの尺度でいいのだろうか。
短期的なコストのみを追い求めなくてもいい。バイヤーとしての評価に必ずしも結びつかなくても、もっと深い地点を見てサプライヤを観るべきではないか。表面上のコストだけで決めるのは、なおさらのこと浅ましいことではないか。ではどうすればよいか?私のエピソードをあえて意訳すれば、P の軸が必要ではないか。つまり、P=ポジションである。