3-3.サプライヤ評価 ~あなたのサプライヤになりたい 「新しい購買のサプライヤ選定革命」~
それにしても、まだこのサプライヤはましであるかもしれない。ここは当然の主張しているだけだ、ということもできる。かつて、私が関わった外資系企業でこんなことがあった。機器装置のサプライヤで、これもワールドワイドでかなり有名な企業だ。
そのサプライヤは見積り競合で、結構安価な見積りを出してきた。もちろん日本企業の方が安心することができたけれど、その魅力的なコストに一つかけてみようか、と設計者たちと合意していた。ただ、安価なのはいいのだが、仕様内容がいまひとつはっきりしておらず、しかも日本支社の人間では全く説明できなかったので、本国から技術者を呼ぶことを要請した。やってきた本国からの技術者たちは、何十時間かけたか分からないような一般のパワーポイントのプレゼンテーションシートと、一読しただけでは理解することができないような複雑怪奇な技術提案書を持ってきた。
すると、数日後。そこの日本支社から「日本滞在費」および「業務費用」の請求用紙がまわってきた。日本であれば、「受注前活動」として割り切られるところを、受注前に、しかも通常レートより高いコストで申請してきたのだ。もちろん、この費用は払わず、その企業の日本支社サイドになんとかしてもらった。
ちなみにあまりに頭に来たので、彼らが泊まったホテルに直接電話し、詳細を訊くと彼らが「業務費」として申請してきた内容にはワイン代が含まれていた。なるほど、立派な「業務」だ、と感心した記憶がある。結局このサプライヤに発注することはなかったが、私はその費用をなんとかしてくれた日本支社に対して「ワイン代が業務費用中に入っていたが、このワイン代と仕事の関わりを理論的に説明してくれないか」と真剣に聞いたことがある。我ながら大人げない態度であった。
もちろん、日本のサプライヤでもひどいところはたくさんある。ある業界トップメーカーは、納品書とともに、その製品を納入するまでにかかった通信費用を請求してきた。FAX1 枚いくら、までやってしまうのだから閉口した。普通は製品にかかる利益のところでそれをやってくれるのだと思うのだが、「通常我々が想定している金額よりも多くの通信費がかかっている」と言って譲らない。通常、とは一体どのレベルなのかと聞いたことがあるが「営業マンが残業しなくてもいいぐらいの時間で発生する通信費です」と聞かされて閉口してしまった。
しかも、そういうところに限って、設計者をがっちりとおさえているからややこしいのだ。このサプライヤは、突発でモノを持ってきてくれるときも、特急代金と称して物流費を依頼してきた。しかも赤帽なみの金額だ。いつも来ている営業マンが持ってきただけなのだが、それはそれで「会社の決まりですから」という。どうしても値引き交渉に応じてくれなかったので、その物流費用を一体どのように処理するべきか、各部署をまわりにまわった記憶がある。