9-6調達・購買部門が直面する新たなリスク

SDGsやESG投資といった新たな経営課題のキーワードは、調達購買業務へ新たな課題を投げ掛けています。できる部分から一刻も早く対応を開始します。

☆偽装リスク

2016年に大手企業で相次いだ検査成績表の改ざんによる偽装問題は、日本企業の品質管理の実効性と製品品質に疑問が投げ掛けられました。

こういった問題が発生すると、検査結果のチェックを厳格に行う方向に対策が施されます。しかし業界を超えて発生している偽装問題の根本原因は、人手不足とノウハウ継承の不足です。

納入された材料の検査成績表が偽装されていた場合、材料発注の窓口として調達購買部門からサプライヤーへ対応が必須です。チェック回数が増え、ただサインや判子が増えただけで効果はありません。サプライヤー従業員の業務負荷を確認し、実効性と実現性を両立させる最低限のチェック内容をサプライヤーと協議しましょう。

☆サプライヤー従業員人権リスク

2019年4月に新たな入国管理法が施行され、単純労働でも外国人の受け入れが始まりました。国内で働く外国人の増加により労働条件をめぐる問題点の報道も増えてきました。報道内容を見れば、「奴隷労働」や「強制労働」が国内で発生している可能性を否定できません。バイヤーが発注を決定したサプライヤーで行われていたときどうするか、具体的対策の必要性が高まっています。

☆反社会的勢力リスク

反社会的勢力は「「暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団又は個人である(犯罪対策閣僚会議幹事会申合せ「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」2007年)」と定義されています。新たに取引を開始するとき、反社会的勢力と関係していない旨の誓約書をサプライヤーに求めているバイヤーも多いはずです。日常的に社外のサプライヤーと取引を行っている調達購買部門は、反社会的勢力を排除する選別強化が必要です。

これまでに述べた3つのリスクが顕在化すると、もっとも影響を受けるのは企業が長年積み重ねてきたブランドイメージです。調達購買部門はサプライヤーマネジメントを通じリスクヘッジの取り組みと同時に、問題発生時の対応方針を関連部門と協議して準備しておきます。

これまで多くの企業で明るみに出た3つの問題に「サプライヤーの問題」として自社の関与と関係を否定し、バイヤー企業はブランドイメージを悪化させました。調達購買部門には不祥事発生の可能性が高い企業を選定しない意識の醸成が求められているのです。

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