6-4サプライヤー1社に見積する場合 ~単独見積の注意点~

見積内容から判断し製品やサービスの供給がサプライヤー1社に絞られてしまう場合があります。競合が活用できず調達購買部門にとって難しい状況です。競合できないサプライヤーへ見積依頼を行う際の注意点を確認します

☆単独サプライヤーへの見積時の注意点

見積依頼に対応できるサプライヤーが1社の場合はサプライヤーを選定できません。発注決定と同時にサプライヤーも決定します。

調達購買部門は最低限、単独サプライヤーから見積や納入の辞退を回避します。調達購買部門は個人の買い物と異なり「買わない」との選択肢をもちません。「買わなければならない」弱い立場のカバーが調達購買部門の課題です。

他に供給ソースが存在しないサプライヤーに対してこそサプライヤーマネジメントを積極的に実践し、良好な関係を構築して安定供給を実現します。

☆見積依頼~発注までのプロセスマネジメント

単独見積は競合見積のように見積内容を比較できません。1社からしか入手できない見積内容を希望に近づけるため、見積依頼から発注までのプロセス管理を調達購買部門主導で進めます。

見積条件を決める段階からサプライヤーをできるだけ深く巻き込みます。「深く」とは、事業を共同して運営する体制までを想定します。バイヤーからの発注意志を表明するタイミングを最大限活用し、協業する体制をサプライヤーに求めます。協業体制によって双方の希望を織り込みながら、最適な見積条件を共同して模索します。

☆バイヤーとしての要求

競合ではより多く購入条件を受け入れたサプライヤーを選定します。単独見積ではバイヤー企業の設定した条件が、サプライヤーに受け入れられない事態を想定します。

単独見積では、購入価格がもっとも受け入れられにくいでしょう。価格交渉で優位性を確保するため、独自性のある製品やサービスを展開したサプライヤーには自負があります。まずバイヤー企業の要求は価格以外のポイントに集中します。納入条件やリードタイムでバイヤー企業の希望条件を実現しましょう。

価格面では見積依頼を行う段階で目標価格を提示します。購入価格の低減が目的ではなく予算管理上も必要です。購入価格が想定外に高額なのは問題です。したがって過去の購入実績から算出した一定の枠の中に納める管理を目指します。

単独サプライヤーへの取り組みも、同時並行的に競合状態を目指す試みも進め供給ソースが1社に限られる状態の打破を目指しましょう。(牧野直哉)

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