6-3複数のサプライヤーに見積する場合 ~競合見積の注意点

あらゆる購買に適用できる競合見積。サプライヤーの競争心を利用した購買手法です。効果的な活用には、複数のサプライヤーに積極的に参加してもらう「競合環境」を整えます。

☆競合環境の整備

競合は複数のサプライヤーが存在すればどのような購入品にも適用が可能で、適正な発注先を選定できる購買手法です。サプライヤー同士が競争心にかき立てられ、受注を目指した魅力的な条件提示が狙いです。

一方サプライヤーは、競合状態からの脱却を目指しています。価格競争から抜け出そうと、新たな製品やサービスの開発を行っています。

競合状態を創出したいバイヤーと、競合状態から抜け出したいサプライヤーの攻防は、見積依頼前から始まっています。バイヤーはサプライヤーの競争心を刺激します。競合に参加する複数のサプライヤーに、同じ条件の下で等しく受注可能性を明言します。競合状態を維持するためには、見積依頼を行う前、各社の強みに魅力を感じており、受注に大きな可能性を伝えます。

☆サプライヤーの「競合慣れ」をどのように打破するか

「競合」はよく活用される購買手法で、競合慣れしているサプライヤーもあります。そんなサプライヤーにも競合に参加してもらう取り組みが不可欠です。

競合成立には、複数サプライヤーへ見積依頼が必要です。見積依頼を行うサプライヤーがいつも同じ顔ぶれでは、サプライヤー同士が相手の出方に慣れ競合が機能しなくなる事態も想定できます。

競合慣れを回避しサプライヤー同士を競わせるためには刺激が必要です。より多くの売上を確保したいサプライヤーの本心を刺激するために、既存サプライヤーとともに、新たなサプライヤーの競合参加がもっとも効果的です。

☆積極的な競合環境の創出

6-2で説明した見積を行う前に依頼内容の詳細確認ができれば、最適と目されるサプライヤーが思い浮かぶでしょう。思い浮かんだサプライヤーを「本命」、本命以外を「対抗」とします。対抗サプライヤーへアプローチを積極的に行うと同時に、本命サプライヤーにも働きかけます。対抗サプライヤーへ見積依頼時に劣っている点を開示して事前に改善を求め、本命サプライヤーには対抗サプライヤーの優位点を強調します。競合環境はサプライヤーが積極的になればなるほど、バイヤーに有効に機能します。そのため見積依頼前のバイヤー対応が重要なのです。(牧野直哉)

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