3-7効率的な物流を実現する ~物流部門との協力関係
多くの企業は購入品の納入場所を自社に指定し、サプライヤーからの輸送はサプライヤーにまかせています。しかし物流の重要性は日々増大しており、バイヤーもサプライヤーの物流管理に興味をもち、最適調達を目指します。
☆重要性が増す物流管理
調達購買部門は生産効率を追求するため、購入品の納入場所を工場1箇所に集約しています。複数サプライヤーを競合させる場合、フェアーな競争を実現するため同じ条件の下で価格競争が必要です。しかしサプライヤーの所在地が異なれば、当然輸送費も違います。近隣地域からサプライヤーの自社トラックで納入を行う場合、輸送費として原価積算を行っていない場合もあるでしょう。しかしサプライヤーが日本国内のみならず海外にも広がっています。バイヤー企業要求の納入頻度も小口化傾向にあります。結果的に輸送費割合は増加傾向にあり、バイヤーによる物流費管理の重要性も高まっているのです。
☆物流会社の選定
サプライヤーからの納入と違い、自社から顧客への納入は物流業者の選定を行います。輸送だけではなく、倉庫・保管機能や、生産現場への払い出し機能といった物流に付随する付加機能を提供する物流業者を調達購買部門で管理します。物流業者選定のノウハウは調達購買部門内にあるのです。物流担当のバイヤーから、購入品担当のバイヤーへ、輸送や倉庫保管、物流時のこん包作業といった付加価値と価格情報を提供します。物流は、選定した業者によって提供されるサービスに違いが生まれにくいリソースです。基本的には競合による価格メリットを創出しやすいのです。競合方法やリレーションの構築方法といった購買手法・ノウハウを、物流購買部門の担当者に提供して調達購買部門のノウハウを相互活用します。また調達購買部門の購入品担当者と物流担当者を固定化せずジョブローテーションを行って、ノウハウの共有と拡散が可能です。
☆物流部門のノウハウをサプライヤーとの価格交渉に活用する
自社の物流管理部門のノウハウを活用し、見積金額に含まれる物流費用を分析してみましょう。自社から車で数十分の距離にあるサプライヤーと、輸送時間が10時間のサプライヤーの見積提示金額が同額とします。見積金額が同じであれば、購入品製造のコストは遠方のサプライヤーの方が安価です。物流費用をバイヤーが検討し最適な方法を選ぶことで、最終的に遠方のサプライヤーが安価になる可能性もあります。遠方で物流費も発生していれば、それだけ改善余地も広がるのです。
また近隣のサプライヤーは、距離が近い分、遠方のサプライヤーと比較して安価であるはずです。安価な人件費を活用するため行った海外調達も人件費は安くなりますが、物流費用は高くなります。発生費用全体を見極め、総合的な判断が必要です。(牧野直哉)