3-3 買うものをどう決めるか ~購入要求部門の責務と、調達購買部門の関係~

購入要求部門は、直接材は設計・技術部門であり、間接材は、社内のあらゆる部門が対象です。調達購買部門が購入要求部門と協力する方法を述べます。

☆仕様決定プロセスへの支援

調達購買部門が行う購入要求部門へ効率的な支援は、適切なサプライヤーの提案です。購入対象の仕様が明確な場合、仕様以外の情報、たとえばサプライヤーで詳細内容を検討し設計できるといった技術的な対応能力や、要求数量に対応できるだけのキャパシティの有無といった、より要求内容にフィットしているかどうかを判断するサプライヤー情報を提供します。

一方、購入要求部門で欲しいモノが具体化されていないケースもあります。仕様が決まらないからと調達購買部門が対処しなければ、仕様決定とサプライヤー選定が購入要求部門によって実質的に行われてしまいます。購入要求部門の担当者も、仕様決定できず困っているのです。したがってここではバイヤーも一緒になって考え模索する必要があるのです。バイヤーは具体的なサプライヤーをイメージできるような質問をします。過去の購入実績のから類似品がないか、あればどこが似ていてどこが異なるのか。どんな機能をもつのか、どんな原材料を使用するのか。バイヤーとしての「質問力」を駆使して一緒に解き明かすのです。

☆仕様決定とサプライヤー決定の分離

購入要求部門で買いたいモノを決めるとき、困っていなければ調達購買部門へ連絡しません。購入要求部門が自ら、サプライヤーから資料を取り寄せたり、営業パーソンを呼んで打ち合わせを行ったりします。結果、購入要求部門とサプライヤーのやり取りで、購入仕様が決まります。サプライヤーの力を借りて行う仕様の明確化は、上手なサプライヤー活用法の1つです。しかしサプライヤーの力を借ると、事実上発注するサプライヤーも決まってしまう場合が多くなります。ポイントは、仕様決定者と発注するサプライヤー決定者を分離し、発注先決定を調達購買部門が担う点です。購入要求部門では仕様のみを決定、サプライヤーの決定は、調達購買部門の責任と明文化し、その順守を社内各部門へ周知徹底します。調達購買部門は、より最適なサプライヤーの選定を繰り返し行い、効果創出の実績を積んで購入要求部門から信頼される存在を目指します。

こういった取り組みには、サプライヤーの最新状況と、社内の各部門とサプライヤーの具体的なやり取り双方の把握が必要です。サプライヤーには、購入要求部門だけでなく調達購買部門も含めた企業全体への貢献を求めます。

☆調達購買組織と、担当分担の明示

調達購買部門は、対象の製品やサプライヤーごとに担当者が割り振られています。担当者の割り振りは、常に最新内容をリスト化して社内関連部門へ周知します。調達購買部門のポータルサイトがあれば、最新の担当表を必ずアップします。購入要求部門が思い立ったとき、すぐ調達購買部門の担当バイヤーへ連絡できる環境整備を行います。(牧野直哉)

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