3-2 コストをまとめ、目標の基準を明確化する ~経理・財務部門との連携~

バイヤーは、さまざまな数字を扱いながら業務を進めます。社内からもっとも期待されるコスト削減の成果は、経理部門から数字で示されます。業績評価では、数字を扱う経理部門の関係はとても重要です。

☆正確性の確保

調達購買部門で購入する製品やサービスは、それぞれ「価格」「購入量」「支払日」など、数値によって条件が設定されます。これらの数値は。また書類に記載したりシステムに入力したりする数値は正確さが必要です。

一方人の行動はミス発生を前提にしなければなりません。ミスを起こさない精神論だけではなく、部門内でミスを発見・修正し、後工程への流出防止が必要です。正確性の確保に必要な方法論を経理財務部門からアドバイスを受け、ミスを起こさない仕組みを構築します。

☆予算実行管理と調達購買業務

売り上げや利益といった経営活動の成果は数値で示されます。調達購買部門は、「原材料費」「購入部品費」といった主に事業活動によって発生する原価・コストを取り扱っています。数値の正確性確保はもちろん、設定された決算日程を順守するため、調達購買業務には経理財務部門の設定したスケジュール遵守が必要です。

企業活動ではあらゆる事項が計画され必要に応じて予算化されます。原材料費や購入部品も購入予定価格が予算として設定されます。調達購買部門で予算を超過する価格で購入した場合、結果的に利益が減少し、コストアップによる販売の減少にもつながる大きなマイナスになる影響を与える要因です。調達購買部門は、予算遵守はもちろん、大きな変動の可能性をあらかじめ経理・財務部門にも伝え、影響を最小化する対策の検討も必要です。

☆コストダウンの基準は、どのように設定されるか

コスト削減の「基準金額」とは、どのように設定されるのでしょうか。

企業の採用する原価計算方式の下、経理部門によって予算として決定され経営計画に反映されます。予算となる購入予定金額は、調達購買部門で独善的に設定できません。予算設定上の注意点は2つあります。

まず予算を決定するプロセスは、必ず調達購買部門も関与します。購入実績金額を踏まえ、想定される経済環境の影響を加味し妥当性のある購入見通し金額を経理部門へ提示します。調達購買部門も予算を決定した当事者となるのです。こういった取り組みは、実現性のない予算設定の防止にもつながります。

調達購買部門が機能している企業では、予算設定段階で社内討議を十分に行って合意しています。討議の過程では、コスト削減の見通しだけでなく、原材料費や人件費の変動によって、ときには値上げも想定する事態もあるでしょう。購入金額を下げ、また値上げを抑制する。いずれも具体的な取り組み内容は同じであり、調達購買部門の重要な任務なのです。(牧野直哉)

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