3.個人の「買い」と調達購買部門の「買い」は違う

「バイヤー、10年やって一人前」

調達購買部門に配属され、先輩社員から聞かされた言葉です。当初調達購買業務は奥が深いのかと考えていました。しかし実態は異なっていました。

調達購買部門で仕事を始めてすぐサプライヤーの担当者を紹介されました。これから一緒に仕事をする上で相手を知ることはとても重要です。しかし業務の経緯やサプライヤーの意志決定プロセスや権限者といった、業務を円滑に進めるために必要な情報は誰も教えてくれません。そういった情報は教わるものではないのですね。そういった情報をサプライヤーの担当者から入手し、スムーズに業務を進めるノウハウを体得するには10年という月日が必要かもしれないと感じました。

バイヤーの「買う」行為そのものは、誰もが生活のために日常的に行っています。調達購買部門で配属された当初、個人の買い物におけるセオリーの延長線上に、仕事としての購入=「買う」があると語る人が多くいました。

「自分の財布から支払うつもりで買ってみろ」

こんなアドバイスを受けました。自分のお金ならムダには使わないだろうとの根拠による発言です。でも担当した製品は、どうしても自分で欲しいと思える代物ではありません。考え方はわかっても、実感を伴わないのです。

日本の調達購買業務は、長きにわたってこういった日常的にむだ遣いをたしなめるような精神論と経験論が支配してきました。たしかに体系化された確固たる教育プログラムも存在していませんでした。しかし現実的に一人前のバイヤーになるため10年費やせません。プロのバイヤーとして買う方法論を学び、高まる調達購買部門の重要性に応えなければなりません。そもそも個人で買うよりも複雑な意志決定プロセスを経なければ企業における購買は実現しません。個人の「買い」と企業の「買い」を明確に区別しなければ、高度な調達購買業務は成立しないのです。

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