4 購買実務の留意点 4-1 こんなときはどう買うか? ~適切な購買手法~
購買にはさまざまな手法が存在します。購入するモノの性質と、購入したモノを自社でどのように活用するかによって適切な購買手法を選択します。状況に応じた最善の購買手法を採用しましょう。
☆購入するモノの「性質」による分類 ~特殊品と汎用品~
購入するモノの「性質」によって、次の2つに分類します。
① 特殊品
自ら仕様を決定したり図面を作成したりして、自社向けにのみサプライヤーが生産し購入するモノ。また特定の少数のサプライヤーからしか購入できないモノ。個人の買い物では、特定のブランドや海外でしか販売していない「欲しいモノ」。
② 汎用品
一般的な標準(規格)によって仕様が決められているモノ。また多くのサプライヤーが生産しており購入先を選べるモノ。個人の買い物に例えると、いつでも、どこでも買えるモノ。
企業では、現実的に特殊品と汎用品の両方を購入し、その上で適正な品質、コスト、納期を実現させなければなりません。したがってそれぞれの性質に応じた手法の活用が必要です。購入するプロセスは同じでも、注力するポイントが異なります。購入するモノの性質を理解してバイヤーとして動くべきタイミングを逃さず動きます。
☆特殊品の購買方法
特殊品を購入する場合は、次の2点が必要です。
① 購入する製品の明確な仕様
自社の要求部門から購入したいモノの仕様を数値化、具体化、図面化し、明確に提示してもらいます。仕様の明確化においてサプライヤーに協力してもらう場合、協力先の選定が実質的なサプライヤー選びとしないプロセスメイクが必要です。事前に設計費用を支払い仕様決定とサプライヤーの選定の分離を考慮します。
② 製造能力を持っているサプライヤー
明確になった仕様を、実現できる能力をもっているかどうか、サプライヤー能力を見極めます。もしサプライヤー能力に問題がある場合は、発注前に問題解決を図るか、新たにサプライヤーを開拓します。特定のサプライヤーからしか購入できない場合、自社に有利な条件で発注するためサプライヤーとの良好な関係づくりに注力します。
☆汎用品の購買方法
汎用品を購入する場合、仕様の明確化やサプライヤーの製造能力が問題になるケースは少ないでしょう。希望する価格、納期、数量などの条件を設定し、対応できるサプライヤーを選定します。サプライヤー選定は複数のサプライヤーに同じ条件を提示し、見積入手する競合を行います。またあらかじめ特定のサプライヤーを選び、有利な条件を交渉で引き出す手段もあるでしょう。調達購買部門の取り組みで、より最適な条件で購入を目指します。