7-6調達購買が主導するコスト削減 ~集中発注化
標準化が進めば「集中化」によるコスト削減へ発展が可能です。しかし集中化にはさまざまな障害もあり、バイヤーが「集中」の根拠を明確にし、関連部門との協力体制構築がカギです。
☆さまざまな「集中化」
ひと言で「集中化」といってもさまざまな形態があります。
(1) 標準化(7-5参照)を受け、部品を絞り込んで実現する「集中化」
① 仕様をまとめて生産効率の向上を追求
② 使用する材料をまとめて、生産効率に加えて材料のまとめ購入による価格メリットを追求
(2) 複数の事業所や工場を抱える場合は、購入窓口をひとつにする「集中化」。サプライヤーの営業窓口をひとつにまとめて、販売ルートあたりの取扱量を増やす「集中化」
(3) 複数のサプライヤーが共通して使用する原材料を、バイヤー企業で一括購入し、発注量に応じてサプライヤーへ支給する材料調達の「集中化」
(4) 複数のサプライヤーへの発注を、サプライヤー数を減らし1社あたりの発注量を増やし実現する「集中化」
☆「集中化」による代償とのバランス
集中化には、実行時に発生する「代償」が存在します。
(1) 仕様や材料をまとめるためには、技術的な検討と、信頼性の検証
(2) 購入窓口を統合するには、窓口と使用場所の違いによって、分散した各場所どうしの確実なコミュニケーションによる購入条件の明確化
(3) 原材料の一括購入とサプライヤーへ支給では、一括購入によるメリットの存在と、サプライヤーとの支給処理に発生する事務手続きや、実際の支給作業による手間とのトレードオフ
(4) サプライヤーを減らす場合は、減らして取引全体に影響を及ぼす可能性はないか。集中して発注がゼロになった製品の影響で、他の製品への値上げ等マイナス要因はないか。
これらデメリットの存在をあらかじめ検討し、本当に集中化のメリットがあるのかどうか見極め取り組みを開始します。「集中化」とは、その言葉とは裏腹に、多方面に複雑な調整を強いられる取り組みです。長期的な視野によって、集中しやすい状況を徐々に整備する継続的な取り組みが必要です。(牧野直哉)