1-4方向性を示す!~調達購買ビジョンの重要性

企業経営の「ビジョン」は、ありたい姿の明文化です。変化のスピードが加速し、先行きが不透明な現代には、進むべき方向性を示す「ビジョン」の重要性は高まっています。どう進むべきかに迷い悩んでしまったとき、立ち戻って確認し、行動の基準とするのがビジョンです。

☆調達購買ビジョンとは何か

激しい環境変化によって調達購買部門の業務内容も大きな影響を受けています。バイヤーとして判断に迷い苦悩したときに立ち返って、目の前の問題の解決方法を見いだすきっかけが調達購買ビジョンです。

調達購買部門は、購入品のコスト削減、高い品質であり、短い納期を、業務遂行を通じて実現します。ビジョンは、これら具体的な責任をまっとうした結果何が求められるのかを考え設定するものです。最近では、SDGs(持続可能な開発目標)の考え方に基づき、調達購買部門も企業市民として実践する社会への貢献も重要な要素です。ビジョンは、考え方や判断、行動の基準であり、不透明な経営環境の中、未来を指し示す役割を担います。

顧客、サプライヤーそして業務を実行するバイヤーすべてが納得できるビジョンは、業績向上だけではなく社会的責任のまっとうにも不可欠です。調達購買ビジョンは、調達購買部門の利害関係者であるサプライヤーや社内の関連部門で働く同僚に対し「共通認識」としてわかりやすいように示し、広く世の中へ宣言すれば、ブランド力の貢献にも寄与します。

調達購買ビジョン設定は、バイヤーの総意が必要です。業務を通じてどのようなあるべき姿を求めるのか。社内にも、もちろんサプライヤーにも納得してもらえる内容こそ「ビジョン」にふさわしいのです。

☆調達購買ビジョンを宣言する意義

調達購買ビジョンは、企業ビジョンと整合性が必要です。調達購買部門ビジョンは、サプライヤーや社内の関連部門に周知します。ビジョンとは調達購買部門に所属するバイヤーたちの意志決定や、行動に大きく影響をおよぼします。バイヤーの行動は、ビジョンにうたわれた内容と整合が必要です。企業市民として顧客ニーズだけではなく、社会的な要請に適う妥当性を兼ね備えた業務内容を、ビジョンを設定し宣言しバイヤーの行動を通じて実現するのです。宣言するだけでなく、迷ったときに立ち返り、振り返りを繰り返し行って、発言と行動がリンクしかつ整合性をもって真のビジョンとなるのです。

☆サプライヤーへ(調達購買)ビジョンを宣言する意義

サプライヤーへの発言や対応でも、ビジョンとの整合性を意識しなければなりません。サプライヤーとの取引は、順守すべき法律やルールが数多く存在します。サプライヤーにビジョンを提示し、法律やルールを順守した上で、サプライヤーと共同してどんな未来を形作るのか、サプライヤーを巻き込んで具体的に行動すれば、よりビジョン設定の意義はより高まります。

また、サプライヤーとは利害をめぐり対立せざるを得ない場面もあるでしょう。そんなときこそビジョンを共有して、短期的利害を超え、様々な困難をサプライヤーと協力して乗り越える中長期に良好な関係性の構築が必要です。サプライヤーとの関係を良好に維持し続けるために、調達購買ビジョンを共有してビジョンに基づいた行動が、現在の調達購買部門にもとめられているのです。(牧野直哉)

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