もうかっているサプライヤーへ発注しよう
多くのバイヤーが主要業務と位置付ける価格交渉。調達購買部門で購入した金額は「コスト」として計上します。しかしサプライヤーの販売時点は、多寡は別に「利益」が含まれています。価格交渉を目の前にして原材料費や加工費、組立費用や販売経費といったサプライヤーで発生するコストには注目しても、利益に着目し、あるべき利益を踏まえた交渉を行っているバイヤーは少ないのが実情です。
製造業は、経費全般と利益を合計すると売上の20%が目安になると言われています。提示された価格の原材料費や組立・加工費に注目する場合、そういった概算・目安は、購入価格を分館して見極めるためにも有効なデータです。しかし上場企業で同じ業種でも利益は大きく異なります。まして規模も運営方法も異なる法人の場合、同じ業種であったとしても利益率に違いがあっても不思議ではありません。
利益レベルの掌握は、サプライヤー選定に大きく影響します。少なくとも業界平均レベル、できれば平均以上に利益を確保しているサプライヤーを選びましょう。「利益」はあらゆる企業活動の源泉です。稼いでいる会社は「稼げる理由」があるはずです。利益を上げる魅力があるからこそ、発注先として選定しているのです。いうなれば、利益は発注先としての魅力を数値で表しているのです。
適正な利益を確保していれば、企業成長に欠かせない再投資も可能です。バイヤーも魅力的な発注先であり続けるためには一定の利益は欠かせません。一方で、利益が多すぎてもバイヤーとして心穏やかではいられませんね。適正な利益レベルを踏まえ価格査定を行い、適正レベルの利益を確保しつつ将来的に発注を続けられるサプライヤーを見極める目が今、バイヤーに求められているのです。(牧野直哉)