9-2事業環境の「劇的変化」に備える 1 新技術による大きな需要変動
ネットや新聞・雑誌で話題になる新技術は企業経営に、調達購買業務に影響をおよぼします。新技術登場の影響を見極め適切に対処します。
☆需要が消える?!
新技術登場によって想定される事態は、旧技術=従来需要が著しく減少もしくは消失です。自社事業の需要消失・減少は、購買量の消失・減少に直結します。需要が減少すれば、構築してきたサプライヤーとの関係性や購買手法の見直しを強いられます。
需要消失・減少への対処は、調達購買部門だけでは困難です。営業部門にはマーケット変化の情報を求め、技術・設計部門には新たな技術開発のロードマップを提示させ、自社に必要なリソースを全社で共有します。生産管理や製造とは、必要リソースの内外作の見通しを立てます。全社的な検討の結果、調達購買部門では外部調達する品目に対処します。
☆調達購買部門の貢献方法
需要消失・減少局面で、調達購買部門は大きく2つ対応法があります。
1つは消失する需要に関連したサプライヤーの対処です。サプライヤーに需要を減少傾向であり発注量が減少する見通しを伝え、自助努力をうながします。サプライヤーにとって、ある日突然需要がなくなる事態は回避します。過去の事業貢献へ敬意を示しつつ、厳しい時代への備えを求めます。
2つは減少需要に関連したサプライヤーへの対処です。発注量は減少してもゼロにはならないケースです。需要消失よりもむしろ難しい対応を強いられます。
需要減少の結果、バイヤー企業は残存者利益を享受できるのかどうか。自社は競合にさらされ、サプライヤーが残存者利益を享受する事態は、損益リスクがバイヤー企業に残ります。細々と事業を継続させる事態も想定できます。サプライヤーの販売力と購買力の関係を事業方向性に反映させ、需要減少する事業でも利益確保を模索します。
☆新たな調達購買業務の構築へ
新技術普及に沿った新事業展開を行う場合、従来事業ではなじみのない製品やサービスが必要です。営業や技術・設計部門と綿密なコミュニケーションを行い、新たな製品やサービスの探索に調達購買部門が積極的に関与します。
本来発注するサプライヤーの選定権は調達購買部門がもっています。実質的に発注先選定の権限が社内に分散しているのは、新たなサプライヤーニーズが発生したとき、調達購買部門が関与していないために発生します。需要消失・減少する事態は、企業の存亡が危ぶまれる危機的な状況です。新たな製品やサービスの探索が必要になった場面を逃さず、調達購買部門として新事業立ち上げに、サプライヤー開拓を率先して実行し企業の存続に貢献します。