9-3事業環境の「劇的変化」に備える 2 新技術による業務内容の変化

新たな技術は、従来の調達購買業務にも変化をおよぼします。新技術には従来業務を改善する可能性が含まれており積極的に活用します。

☆ワークスタイルの変貌

従来のワークスタイルは、朝会社へ行って、オフィスには自席があり業務を行って、社内で会議に出席して、仕事を終えて自宅に戻るのが一般的でした。しかし新たな技術によって、従来のワークスタイルにおける最大ムダが排除できるかもしれません。

最大のムダは「移動」です。工場の現場改善でもモノの移動はムダと称され、できるだけ動かさず移動距離を最短にする取り組みは、ムダ取りの第一歩として実践されています。

移動をなくす新技術は、インターネットを活用した新たなコミュニケーションツールです。パソコンやタブレット端末、スマートフォンがインターネットにつながっていれば、どこでもメールやチャット、電話会議やテレビ会議が可能です。出勤しなければできなかったコミュニケーションが、インターネット環境さえあれば実現できるのです。

☆購買手法への影響

工場では近隣サプライヤーから、毎日納品のついでに調達購買部門に立ち寄る営業パーソンの姿を目にします。近隣サプライヤーは依頼への即応性の点で優位です。しかし即応性の本質は「すぐに話せる」点です。テレビ会議の実践で、近隣サプライヤーの優位性は薄れてゆくでしょう。人間関係だけを重視する関係から、ビジネス上のメリットによって関係性を再構築するきっかけとなる可能性を秘めていまます。

海外サプライヤーとのコミュニケーションも大きく変化しています。時差のないアジア諸国であれば、現地訪問しないと実現できなかった現場を確認しながら高頻度のコミュニケーションが可能です。何か問題が発生したとき、次回打ち合わせのタイミングまで日単位、週単位の待機を発生させず、発生した瞬間に関係者を召集し、インターネットを活用したテレビ会議を開催して対策検討や問題解決も可能です。

☆新技術を取り込んで効率性向上を図る調達購買部門

調達購買部門には、サプライヤーの営業パーソンが訪れるのが当たり前でした。しかしグローバルに広がるサプライチェーンは、サプライヤーのバイヤー企業訪問の負荷を増大させる傾向にあります。負荷の増大は、訪問頻度の減少といった形で調達購買業務をおよぼします。

バイヤーはサプライヤー来訪頻度に対する価値観の変化を迫られるでしょう。従来「年に二回しか来ない」とサプライヤーの営業姿勢に疑問を投げかけていたとすると、「年に2回も来た」と逆に高評価する事態が到来するでしょう。

バイヤーが営業パーソンと行う面談は仕事でした。しかし面談内容や面談方法の効率性が問われ、ただ会うだけでは意義を見いだしにくい時代になったと認識を新たにしましょう。会わなくてもインターネットを活用したあらたなコミュニケーションによって、5分の会議で問題が解決する時代なのです。

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