9-4より買わないバイヤーが取り組む新たな課題

調達購買部門の業務は、購入より前段階により重要性が高まっています。購入条件設定が従来にも増して複雑さを増しているのです。

☆リスク対応とコストマネジメント

調達購買部門が直面するリスクは、QCD(Quality:品質の向上、Cost performance:低コストの実現、Delivery Date:必要な時期に届ける)に加え、地震や水害に代表される自然災害リスクや、SDGsやESG投資といった言葉で語られる持続可能な調達へ広がっています。

事業運営上のリスクは、すべて漏れなく排除するのが理想です。しかしリスク排除には相応のコストが発生します。リスク管理は、発生する可能性とマイナス影響度の双方から判断した優先順位を設定し、費用対効果を見極めた対処が必要です。

☆調達購買部門の多数拠点化マネジメント

日本企業の海外直接投資は、リーマンショック後に高い伸びを示し現在も高い水準を保っています。調達購買部門のグローバル化対応も、海外サプライヤーから購入業務だけではなく進出先の現地調達業務に、内容が多様化しています。

海外調達であれば、国内を拠点に出張ベースの対応が可能です。しかし海外へ進出し現地サプライヤーを相手に調達購買業務を推進するのは、国内業務で培ったノウハウの移管が必要です。

海外進出先の調達購買管理は、進出当初から国内の調達購買部門が関与し、国内業務との連携性を確保します。すぐに国内と同じレベルの管理が実現できないケースもあるでしょう。だからといって進出先独自の管理を認めると、せっかく海外進出し拡大した拠点との相乗効果が薄れます。一般的に品質レベルは国内が高いと考えられています。しかし量産対応力は、中国に代表される新興国の実力も向上しています。国内と海外進出先双方の得意分野理解し、相互利用して相乗効果の発揮を念頭に、複数拠点の調達購買の仕組みを構築します。

☆調達購買業務ポイントの前倒し

調達購買業務は、注文書を発行するプロセスよりも、注文書の内容の適切な管理へ変化しています。注文書発行する前工程で、後工程に問題を発生させない管理が求められているのです。

見積書を入手してからサプライヤーと納入条件の交渉を行うのではなく、見積依頼の段階から目標価格を実現しやすい見積依頼条件を設定したり、短納期対応を実現するために発注タイミングを前倒ししたりといった、発生が予見される問題に事前対処を行います。

注文書を発行した後、バイヤー企業に購入責任が発生します。注文してからの対処はすべて事後対応であり、事前対応よりも手間もコストも余分に発生します。発生するコストを削減するのではなく、そもそも発生コストを最小化する取り組みこそ調達購買部門に求められているのです。

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