9 これまでの購買・調達、これからの購買・調達時代への対応 9-1 サプライヤー優位時代の調達購買部門とバイヤー

調達購買部門は、必要なリソースを外部から調達する役割です。新技術の登場や人口減少といった環境変化の中、事業ニーズも変化しています。変化に対応した調達購買部門の「あるべき姿」を設定し、計画立案して実現します。

☆バイヤーが直面する変化

中国に代表される新興国の技術・品質レベルが向上し、国内では人口減少による市場縮小に備え、企業は活路を海外に求めています。環境と事業内容の変化は。あらゆる部門で業績貢献方法が大きく変化しています。調達購買部門は、購入対象が減少したり、国内サプライヤーが減少したり、取り巻く環境変化へ対応を強いられます。

厳しい環境の中でも企業は成長機会を求めています。海外進出した企業は、国内の調達は減少しても、同じ量、もしくは国内よりも多くの量を進出先の拠点で調達するでしょう。調達購買部門は変化に対応し、従来の業務で蓄積したノウハウを進出先業務や現地のサプライヤーに対応し業績に貢献します。

☆売り手優位時代の調達購買部門のあり方を模索する

国内では休廃業・解散する企業数が高い水準で推移しています。休廃業や解散によって、購入可能な売り手であるサプライヤー数が減少する可能性が高くなっています。売り手の減少は、買い手との力関係に大きく影響します。

事業継続する企業では、製品ラインナップ見直しが行われています。長年の取引関係によって供給されていた製品が、サプライヤーの製品見直しにより供給されなくなるケースも増えています。

こういった動きは商習慣に影響を与えます。取引の歴史や濃密な人間関係に依存する購買から、バイヤー企業とサプライヤー双方がビジネスとして成立する健全な取引が求められているのです。従来対比でサプライヤー=売り手優位の傾向拡大に注意が必要です。これまでの購買手法が通用せず、いや応なしに行われる購買方法転換に備えます。

☆サプライヤーメリットを考えるバイヤーへ変貌せよ

従来のバイヤー企業とサプライヤーの取引関係は「上下関係」で表現されていました。求められるサプライヤー像も「従順さ」が重要視されていました。こういった認識は今、見直しを迫られています。

バイヤー企業は、将来的な方針を明確化が難しくなっています。バイヤー企業が暗中模索で正解かわからない中、サプライヤーの将来を示したり、まして保証したりできなくなっているのです。従来と同じ考え方でサプライヤーに対処すれば、より過去の取引実績に固執した人間関係のみへの依存を高めてしまうのです。

今、求められる姿はまったく逆です。実績重視ではなく未来志向であり人間関係ではなく高い事業貢献です。先行きが見にくい時代だからこそ、サプライヤーとの関係を上下関係から並列関係へと移行し、協力して市場や顧客を攻略する取り組みが求められているのです。

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