1-6 どうやって進むのか2~調達購買戦略のつくり方

調達購買の実務を進めるバイヤーにも戦略は必要です。一人ひとりが戦略にもとづき業務を進め、業績に貢献する購買を実現します。戦略は上位の役職者がつくるといった考えは捨て、バイヤー個人でも戦略性をもった調達購買活動を心がけましょう。

☆サプライヤーのリソースを見極める

戦略を実現する上でバイヤーに求められるのは、何よりもサプライヤーリソースの見極る力です。既存リソースだけでなく将来的なリソース拡大の可能性も含め正確に掌握します。サプライヤーのリソースが今後どのように改善し成長するか、リソースが変化する可能性を読み、自社の戦略の実現性を見極めます。

「リソースの見極め」は、戦略構築段階だけ行うのではありません。サプライヤーのリソースは常に変化しています。変化は同じ視点からの観察=定点観測を継続的に行って初めて理解可能です。日常的なサプライヤーとのコミュニケーションからリソース変化を把握し、購入する量やタイミング、新規案件発注是非といった意志決定へ反映が必要です。

☆サプライヤー情報を正確に掌握する

上位戦略や社内関連部門の戦略と整合性を保ち、業績へ貢献する調達購買部門とするために、次の2つの視点でサプライヤー情報の収集が必要です。

(1)サプライヤーを自社から見た場合

(2)サプライヤーから自社を見た場合

調達購買戦略上、もっとも重要なリソースはサプライヤーです。重要な存在であるサプライヤーに、自分たちの戦略を理解してもらう取り組みは、調達購買部門にとって欠くことのできないプロセスです。自分たちの戦略を説明し理解を求めると同時に、サプライヤー戦略を理解します。同時に、サプライヤーの忠誠度(ロイヤリティ)を測り、サプライヤーと自社のポジショニングを明確にします。サプライヤーが売りたがっているのか、それとも自社が買いたがっているのか。この2つのいずれに該当するのかを確認します。要求をどの程度聞き入れてくれるのかをあらかじめ想定するのです。

調達購買戦略は、サプライヤーへ要求事項の一部としても展開されます。ハードルの高い要求を行うケースも想定されるでしょう。難しい要求も戦略実現上、サプライヤーに実現してもらわなければなりません。まず、実現に向けたモチベーションの有無を忠誠度(ロイヤリティ)として測定しましょう。その上で対象サプライヤーへの対応方針を決めるのです。

☆サプライヤリソースの維持向上と不足部分へ対処

サプライヤーの現在のリソースの状態や忠誠度を掌握し、いよいよ調達購買戦略を構築します。全社、事業、社内関連部門のいずれの戦略とも整合性確保を前提としたとき、現在のサプライヤーのリソースだけで、自社の戦略が実現可能なのかを見極めます。リソースの質(技術力、企画力、品質管理能力)や量(生産能力)を注視し、戦略実現に必要なリソースがあるのかどうか。それとも新たなリソースを求め、サプライヤー開拓が必要なのか。次なるアクションの見通しをもって、調達購買戦略を構築します。(牧野直哉)

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