1-3調達購買部門の役割~接点の有効活用と触媒機能の発揮~

事業運営は、社外に価値を提供し対価を得ることで行われます。調達購買部門は社内と社外をつなぐ重要な接点であり、サプライヤーの対応によって事業運営にも大きな影響を与えます。

☆社外の市場にと接点をもつ仕事

企業は営業部門を通じモノやサービスを販売して市場に接しています。同時に調達購買部門を通じて、直接サプライヤーからモノやサービスを購入する顧客の立場で市場に接しています。

企業運営は外部環境から大きな影響を受けます。市場が停滞し需要が減少すれば、企業業績にマイナス影響を与えます。同時に調達購買部門が接している市場におけるサプライヤーの動きからも大きな影響を想定し、調達購買業務を進めなければなりません。具体的な影響には、為替レートや源材料価格、人件費といったコスト要因の変化があげられます。サプライヤーの能力の質・量とも、従業員の退職や高齢化によって、同じ状態が続く保証はありません。調達購買部門も市場環境と同じく変化を前提にした取り組みが求められています。

☆社外動向の掌握は調達購買部門の重要業務

調達購買部門が接している市場は、国内情勢だけでなく、世界の政治、経済情勢に応じて変化します。過去の市場と比較し、現在の市場がどのような状態なのかを掌握し、更に市場が将来的にどのように変化していくかを見通し、調達購買業務を変化に適応させるのも調達購買部門の重要な役割です。

市場変化には、市場価格のように具体的な数値でとらえることが可能な種類もあります。数値に限らず変化には背景・要因が存在します。変化の要因はセオリーとして確立され、市場にかかわる調達購買部門の担当者に不可欠な知識もあります。セオリーを学び現状分析を重ね将来を見通す取り組みも、調達購買部門における必要性は高まっています。

バイヤーとサプライヤーとのやりとりでも、実にたくさんの有益な情報が調達購買部門にもたらされています。有益な情報に気づく力、情報の精度を確認する力、そして最終的には社内へ向け情報を発信し、具体的な対策を講じる力がバイヤーには必要なのです。

☆レピュテーション(reputation)の維持向上

バイヤーのサプライヤー対応は、企業を代表した対応です。サプライヤーは対応への評価を、バイヤー個人だけではなく企業評価として下します。

インターネットは、企業の評価もTwitterやFacebookといったSNSを通じ、情報として拡散するようになりました。バイヤーの対応がイコール企業そのものの対応と判断され、インターネットを通じ広く世間に伝えられる可能性も高くなっています。

レピュテーション(reputation)は、日本語で「評判」を意味します。企業に対し世間一般の人々が抱く印象示す言葉として使われます。調達購買部門が市場に接している以上、バイヤーのサプライヤーへの対応も、企業としての評判(reputation)を決定する要因です。

企業不祥事によって企業の評判(reputation)の逸失は、売上減少や株価下落の原因となります。レピュテーションが高い企業であれば、サプライヤーとも強固で良好な関係構築が可能です。サプライヤーとつくる良好な関係は、有利にモノやサービスを購入する基礎的条件となります。調達購買部門としてサプライヤーからのレピュテーションを維持・向上し、信頼を得られるかどうかが重要な課題なのです。(牧野直哉)

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