商社評価論(坂口孝則)
このところをいかに評価するかについて考えています。物流の機能は定義されていますが、なかなか商社をいかに評価するかは定型化されていません。そこで考えたのが下です。
品質力:
●サプライヤの品質コントロール
●トラブル対応時のバックアップ体制
情報提供力:
●生産中止時の代替品探索
●新規サプライヤ情報
●定期的な技術動向レポート
折衝力:
●サプライヤ価格交渉(国内外)
●契約条件(国内外)
●トラブル対応時のサプライヤフォロー
リスクヘッジ:
●為替影響軽減
●在庫機能
●海外調達フォロー
リソース発揮
●資源開拓
●人脈開拓
●M&A斡旋
おそらく上記が中心となるのではないか、と思います。ただ、難しいのは、「サプライヤ価格交渉(国内外)」の一例をとっても、評価方法が定性的になってしまいます。なぜなら、評価しようと思えば、
「商社Aが交渉したサプライヤAの価格」と
「商社Bが交渉したサプライヤAの価格」が、
わからないと正しくジャッジできないからです。安くても、それはサプライヤAがそもそも安い場合は商社の交渉実力ではありませんよね。
そこで、無理やり考えたのが、「商社Aが交渉したサプライヤAの価格」と「商社Bが交渉したサプライヤAの価格」を、年度で20アイテムほど調査できないか、というものです。もちろん、ほんとうに調達するかわからない状況で、商社Bが本気を出すかわかりません。ですので、商社Bには「価格によっては真剣に切り替えを考える」前提で出していただきます。
それによって、純粋に商社Aの実力を測ろうというものです。これも完璧ではありません。
たとえば「契約条件(国内外)」はどうでしょうか。これは、その商社が介在することによって、よりよい条件で締結できるものです。しかし、これを考えても、
「商社Aが交渉したサプライヤAの契約条件」と
「商社Bが交渉したサプライヤAの契約条件」が、
比較できなければ、評価とはなりえません。これが非常に難しい評価です。実際に、商社Bに契約締結を試みてくれるように依頼はできません(できるでしょうが、それは倫理的な問題が内包するでしょう)。これは相対的にならないでしょうが、通常の契約事項を、商社のがんばりでどれくらい改善できたかという評価にしかできないと思われます。
商社冬の時代、といわれて数十年がたちます。そのあいだ、商社はずっと生き残ってきました。商社の評価は難しいのですが、自社版の評価表作成を推奨します。