バイヤー出張論(牧野直哉)
3.バイヤー流 手荷物選定方法
出張する期間によって持参する荷物も異なり、かなり個人差がでます。ここでは出張先で忘れた!と慌てないような手荷物の選定手順と、持参する方法、またこれは便利!といったアイテムを御紹介します。
① オリジナルの「持ちものリスト」を作成する
出張先に持参するアイテムは、リスト化しておきます。基本的に日帰り出張でも、長期の海外出張でも、業務に必要となるアイテムに違いはありません。出張中にどんなアウトプットを効率的に出すのかを想定し持参品を検討します。日帰りであれば、オフィスの仕事は保留すればいいでしょう。しかし、長期間の出張の場合、オフィスの仕事をそのままにできません。出張中でもオフィスの仕事を止めずに、出張先でやるべき仕事を含め、持参するアイテムを選定します。
パソコンがあれば、メールも送受信も可能ですし、さまざまな資料の作成も可能です。メールの確認ができる携帯電話を加えると、かなりの業務が出張先でも対応可能になります。円滑な出張は、出張先でのパフォーマンスに加えて、不在中のオフィスの仕事を、出張を理由に止めないといった要素も重要です。数秒で判断して返信まで完了できるなら、空き時間に出張先から行う対応が、アクションを待っている同僚や他のサプライヤの担当者の仕事を止めずに済みます。
② 出張先で活用するガジェット
持参品を選定する基準は、出張先で購入できるかどうかを基準にします。どうしても必要であれば出張先で購入できる環境かどうかです。海外出張の場合、私は国によってレンタカーを借りて自分で運転するかどうかを決めています。レンタカーがあれば、時間を調整し現地で必要なアイテムの購入が可能です。また、レンタカーがなくても都市圏に出張し、訪問先や宿泊先の近隣にスーパーマーケットやショッピングモールがある場合も同じです。レンタカーもなく近隣にお店が無さそうな場合は、しっかり日本から持参する準備をします。国内出張の場合、最低限の持参品にとどめます。最悪「購入すれば良い」と割りきります。
どんな出張先でも、必ず持参するアイテムは、次の通りです。
(1)赤いバインダー
出張先の仕事で必要な書類を「まとめる」機能と、どんな場所でもメモできる「下敷き」、そして「赤」を指定するのは、サプライヤの工場内で自分を「目立たせる」目的です。訪問先の工場の作業環境(特に新興国の工場)によっては、作業員からの視認性が悪い場合もあります。その場合、普通のバインダーだと目立ちません。赤のバインダーは、機能性と安全性を追求した結果です。
(2)電源用ソケット
かつて、海外出張する際は、電源トランスを持参していました。しかし、最近海外で使用する電化製品の電源は、ほぼ240Vの入力に対応しています。(本体に付属しているケーブルは100V対応なので注意が必要)しかし、ソケットの形状の違いだけは、現地仕様のアダプターが必要です。最近では、組み合わせで世界のプラグ形状に対応できるアダプターも販売されていますので、海外出張する機会の多い場合準備しておくと便利です。
(3)USB電源(マルチタップ)
パソコンと携帯電話、デジタルカメラは、出張先の仕事に必要となる三大アイテムです。出張先の出来事やヒアリング内容を関係者に伝えるために欠かせないツールです。しかし、それぞれに電源ケーブルがあるのが悩みの種です。そういった悩みを解消してくれるのがUSB用の電源です。個別にケーブルの持ち運びが不要となり、ケーブルだけの持ち歩きで済みます。
③業務以外で活用するモノ
短期間の出張はさほど心配する必要もありません。しかし数日の宿泊を伴う海外出張の場合は、移動やホテル、食事の違いによって受けるストレスを上手に解消するアイテムも準備します。
(1)リラックスできる服装
テレビドラマやCMのイメージでしょうか、海外出張に出発地の空港からスーツを着て出掛ける人を目にします。スーツでもリラックスできて、余計な荷物を増やしたくないといった理由があれば別です。海外出張の場合、現地に着いてそのまま仕事でない限り、移動中や機内でリラックスできる服装を選択します。出張先や出発時間にもよりますが、海外出張で出発した日に、そのまま仕事する国や地域は、近隣の国や時差の関係でごく限られます。また、業務にスーツを着る習慣も、製造業に限っては日本以外で目にする機会はほぼありません。したがって、ビジネスカジュアルといった少し緩めの服装で出張し、余計なストレスをためない工夫をします。
(2)ジャージと水着
海外のホテルに宿泊すると、宿泊者はトレーニングジムやプールが無料で利用できる場合があります。プールにジェットバスがあれば、つかるだけで1日の疲れを癒やせます。トレーニングジムのランニングマシンで数分間走るだけでも、心身ともにリフレッシュされます。出張は、ふだんとは異なる環境で仕事をしますので、いつもより疲れがたまりやすくなります。十分な睡眠を取りたくても、時差ボケで眠れないときは、少し泳ぐか、軽めの運動で気分転換をうながします。
(3)携帯できる日本食
出張先でホッとできる数少ない瞬間が食事のひとときです。しかし、国や地域によっては、日本と食文化が大きく違う場合もあります。海外出張で、しっかり仕事ができる人の条件の一つは、現地での食事で体調を崩さずに、食事を楽しめるかどうかです。そんなとき、サポートしてくれるのは、携帯できる日本の食品です。常温で保存できる食品で、出張に持参するオススメの食品は、インスタントのみそ汁や、1回分にパックされたしょう油です。現地の味付けが合わないときは、しょうゆだけでもかなり救われます。
(つづく)