プレゼンはこうする(牧野直哉)

●伝えたい内容を表現する

前回までは、他人へ伝えたい内容をどのようにまとめるかについてお伝えしました。いよいよ、これから実際にプレゼンテーションソフトを使用して、具体的なプレゼン用スライドの作成に入ります。これからご説明する内容は、すばらしいプレゼンと称される、例えばこういったプレゼンテーション( http://youtu.be/L0XeQhSnkHg )とは対局に位置します。社運をかけるような製品やサービスを伝えたい場合は、入念に作り込んだこのようなプレゼンも必要かもしれません。しかし、費やす時間を費用と考えて、対効果に配慮するのであれば、強く記憶に刻まれるプレゼンよりも、作りやすくかつわかりやすいプレゼンを目指すべきです。そのために、イメージ写真でなく、文字や数値、図表をどのように表現するかに重点を置いて考えてみます。

まず、プレゼンテーションソフトの設定です。ここでは、MicrosoftのPowerPoint2013を使用する前提で話を進めます。

☆文字

いろいろ個人的な好き嫌いもありますので、このフォントがベスト!との言い方はしません。しかしセオリーとして押さえておくべきポイントをお伝えします。

*ゴシック体ベースのフォントを使う

使用するフォントは、ゴシック体をベースにしたフォントにします。重要なのは、どのフォントを使うかよりも、複数のフォントを同じスライド内に混在させない点です。文字の統一感が失われて、見にくくなってしまうためです。

では、どのフォントが良いのか。従来、私は「HGP創英角ゴシックUB」を使用していました。現在は、

和文:メイリオ
英文:SegoeUI

としています。これは、和文、英文での「読みやすさ」を自分で判断しました。以前使用していた「HGP創英角ゴシックUB」は、セミナーのお客様から「よみずらい」とのコメントをいただき、見直した結果です。もし、迷って決められない場合は、MSゴシックで良いと思います。

文字を選ぶ際に重要なのは「P」付のフォント選ぶ点です。MSゴシックでも、MS Pゴシックがあります。これは、等幅フォントとプロポーショナルフォントの違いです。違いは文字間のバランスです。「P」付きフォントの方が見栄えが良くなると覚えておいてください。

*文字の大きさ

プレゼンの種類にも左右されます。セオリーでは、28ポイント以上が望ましいと言われています。しかし、社内の会議室や、プレゼン画面の共有、資料としての配布状況によっては、28ポイント以下のフォントサイズを使用してもかまいません。

文字の大きさ以外の要素を含めて、プレゼンする場面を想像して最適な要素を選択します。出席者全員がパソコンを持参して、プレゼンの画面を自分のパソコンのスクリーンでも確認できるとか、会議室のサイズとスクリーンのサイズを想像して、十分に読解可能であれば、小さい文字を使ってもかまわないのです。ただ「大きな文字は読みやすい」との点は忘れないでください。

☆色使い

私がプレゼンテーションソフトを本格的に使い始めたのは、後輩社員の論文発表の指導でした。当時、私は花火大会のようなスライドを作成していました。背景を黒にして、たくさんの色とアニメーションを多用して、画面を動かし「まくって」いました。当時、そういったプレゼンが社内的に評価が高かったのが、主な理由です。

以降、勤務先以外でプレゼンする機会も増え、背景は黒から白になり、使用する色は少なくなり、アニメーションは滅多に使用しなくなりました。理由は、よりシンプルでわかりやすいプレゼンテーションを求めたというのが表向きの理由。実際は、特にアニメーションを的確にタイミングを計って活用し、お客様にインパクトを与えるほど、プレゼンの練習に時間が割けなくなったためです。

現在、私は基本的に3色しか使用しません。

背景:白
使用する色:黒、赤、青

この色のみです。どうしてももう1色必要になる場合は、ペールオレンジ(いわゆる肌色)を使います。あんまりカラフル過ぎても見にくいし、1枚のスライドで強調したいポイントは3色あれば十分表現できる、また3色で表現できない場合は、スライドを分割するためです。

☆スライドマスターの活用

スライドを作成する場合の基本的な設定は、プレゼンテーションソフト(パワーポイント)であらかじめ設定されています。初期設定と違う設定をおこなう場合は「スライドマスター」の活用が便利です。まず①「表示」タブから②スライドマスターを選択します。

<クリックすると、別画面で表示されます>

そこで、配色とフォントの設定には、以下の部分をクリックします。いずれも、カスタマイズ機能によって、自分好みに調整が可能です。

<クリックすると、別画面で表示されます>

☆最後に「自分好み」について。

「自分好み」とは、自分の嗜好に事細かに設定してとのイメージを持たれるかもしれません。しかし、たくさんのユーザーを想定したパソコンソフト、プレゼンソフトに関しては、フォントの種類や大きさ、色使い等、初期設定でも選択肢が多すぎると感じています。私のおこなう「自分好み」の設定は、どのフォントを使うか迷わない、どの色を使うか迷わない、それよりも内容を重視するための「自分好み」であるべきなのです。

<つづく>

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