クレジットカード社会の明日(坂口孝則)

かつて青年が大人になるのは「童貞を喪失したとき」「タクシーを停めたとき」「クレジットカードを持ったとき」の三つだった。しかしクレジットカードについていえば、現在では3億枚が発行されており、一人三枚時代が到来した。

新生銀行の「サラリーマンのお小遣い調査 30 年白書」によれば、サラリーマンのお小遣いは1990年の7万8千円から、2012年には4万円に減った。それなのに、いや、だからこそ、クレジットカード各社はポイント還元やその他のサービスを付与してメインカード化競争を激化させている。

そのクレジットカード界で注目すべきポイントは二つだ。一つ目は、スマートフォン決済システムの拡大。二つ目は、クレジットカード各社のアジア市場拡大だ。

Squareや楽天、PayPalなど各社がスマートフォン決済を急速に広げている。これは、スマホにクレジットカードリーダーを装着し、カード決済を受け付けるものだ。たとえば、PayPalのサービス「PayPal Here」は、提携しているソフトバンクショップでたった1200円のカードリーダを購入すれば、すぐさま個人で商売ができる。実際に私もイベントでの物販時に利用し始め、その容易さに驚いた。

また、クレジットカード各社のねらいは次にアジア各国の会員数増加にある。たとえばインドネシアは人口2億4千万人にたいして発行枚数は2千万枚に至っていない。ミャンマーなどは事実上、現金のみが決済手段となっている。当然ながら、クレジットカード利用には店舗側の機器と、データセンターをつなぐインフラも必要となってくる。ここに商売の匂いを嗅ぎつけるのは当然だ。アジア各国はクレジットカードというキャッシュレスな武器を手に、さらに消費を拡大していくだろう。

「この前ね。カードの請求が50万円もきちゃって。ほんとにクレイジィカードですよ、こいつは」
「使ったからだろ」
「思い出はpriceless。お金で買えるものはworthlessってコピーもありますからね」
「違うだろ」
「でも、浪費こそ景気刺激策ですからね」
「いまじゃ、なんでもカードで買えるからな」
「カネで買えないのは信用(クレジット)くらいですよ」
「逆説的だね」
「他人から信用されない俺がいうから間違いありませんよ」

クレジットカード各社の検討を祈る。

<了>

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