先週の調達・購買担当者が見るべきニュース(4月27日~5月3日)

調達・購買部門担当者にとっては、なんともやるせない記事ばかりに注目せざるを得ない。しかし、調達・購買部門/担当者に厳しい局面だからこそ、現在の経営環境を的確に理解して、自らの立ち位置を正しく捉え、右に左に上に下に、最適な方向へと歩み出さなければならない。モノやサービスを適切に仕入れるためには、まず情報の仕入れが欠かせない。

【円安】
4月終わりに所用でアメリカを訪問していた。日本からのニュースでは、日々刻々と円安が進んでいる。今回の円安で、過去の訪問時によく飲んでいたスタバのコーヒーがマクドナルドのコーヒーに変わった。味には好き嫌いがあると思うが「まぁいっか」と思えるほどに、ここまでの円安はインパクトが大きい。マクドナルドのコーヒーは$1.79+税。感覚的には過去に飲んでいたスタバのコーヒーと日本円評価ではほぼ同じ感覚である。アメリカを旅して感じるのは、値上げで苦しんでいるとはいえ、アメリカと日本の物価差である。例えば、日本の最低賃金が1000円前後で推移しているが、米国の大手ファーストフード店では、郊外店でも15ドル、1ドル=150円では、2,250円。春夏秋冬で「値上げ」が語られているものの、日本の物価の安さが際だって印象的であった。

2024年5月3日 円安の本当の要因とその背景の解説
今回の円安の要因を大きく3つに分類している。
1. 日本企業の海外進出と構造変化
2. 貿易構造の変化とサービス収支の赤字
3. 金融政策の違いと日米金利差
1,2は、日本企業の海外進出そのものと、進出後のオペレーションに起因しているとある。3つめの要因は、よくマスコミでも報道される過去のゼロ金利政策によるものだ。3の要因が大きければ、3月の日銀によるゼロ金利政策解除で、為替相場は円高方向に誘導されるはずだった。しかし実態は円安が進んでいる。
日本企業の運営に際しては、外国為替変動への対処が重要であった。「であった」とするのは、2010年代の後半は、過去30年にさかのぼって見ると、驚くほどに為替変動「幅」が小さかった。変動幅の小ささが変動対応への感度を鈍らせた側面は否めない。また事業活動の海外進出によって、外国為替「変動」対応の方法も変化が必要となったのである。
外国為替への対処は、複合的に様々な対処が必要となる。外貨での売り上げが多く円安を謳歌できない企業は、最適な対処方法をひねり出す必要がある。

2024年5月3日 過度な円安「日本経済にボディーブロー」 経営者警戒
円安にともなうデメリットを強調する記事だ。この記事は、日本経済は輸出加工型産業構造でない側面をあらわしている

【労務費転嫁関連】
2024年5月3日 中小賃上げへ、アメとムチ 価格転嫁「Gメン」1割増/適正取引なら法人税優遇

2024年5月1日 大手、中小の価格転嫁のむ 難題の「労務費」10%超上げ合意も、原価データ交渉後押し(小さくても勝てる)

労務費転嫁を進めて、経済の好循環をなりふり構わず進めるための諸施策が繰り出されている。気になるのは、新聞の地方版で労務費転嫁が進んでいないと報じられる中でこの記事の見出しは「本当か?」と疑いたくなる。サプライヤとざっくばらんな情報交換ができるかどうかがポイントだろう。

2024年4月30日 円安が国内商品市況に波及 日経42種、4月末も最高
円安はこっちにも大きな影響を及ぼしている。材料費変動は、使用量と変動幅を適切に見極めてサプライヤと合意するしかない。魔法の様な手法はなく、地道に対処を進めるしかない。

未来調達研究所株式会社では、こういった情報を週一回、メルマガで発信しています。
【無料】御購読お申し込みはこちらから

あわせて読みたい