4-6内外作に関与する調達購買部門
調達購買部門は、社内では実現できないリソースを社外から調達します。指示された品目を調達するだけではなく、市場環境を熟知し、調達実現性を踏まえ内外作決定に関与する物言う調達購買部門が今求められています。
☆コアコンピタンスを意識した調達購買活動
コアコンピタンスとは「顧客に対し他社にはまねのできない自社ならではの価値を提供する企業の中核的な力」と定義されています。「中核的な力」とは、企業ごとに違います。調達購買活動も「中核的な力」を確立し成長させる原動力としての取り組みが必要です。
多くの企業が直面する人手不足は、社外にあらゆるリソースを求める原動力です。だからといって何でもかんでも無節操に社外から調達すると、そもそも自社の競争力の源泉がぼやけてしまいます。自社の優位性確立に必要なリソースの外部調達は、戦略的に長期的な視野に立って決定すべきです。今人手が足りないからといった単純な理由ではなく、人手不足な時代だからこそ、限られた自社の限られたリソースの活用方法と、競争力確保の両立方法の見極めが欠かせません。
☆製造以外のリソースにも着目する
最終的に製品が納入される場合でも、買っているリソースは何かを突き詰めて理解します。自社で技術的検討や設計を行って、指示通りの製品を生産する場合と、要求機能だけを指示する場合では、最終的に納入される形は同じでも、発注によって活用するサプライヤーのリソース内容は大きく異なります。詳細内容の検討を自社で行う場合、更なるノウハウの確保が期待できます。しかし詳細検討をサプライヤーで行うと、技術的なノウハウの蓄積が難しくなります。
技術的なノウハウとは付加価値の源泉です。社外で行うべきか、それとも社内リソースを確保して社内で行うべきかの見極めは、企業の先行きを左右する大きな意志決定なのです。
☆本当に必要なサプライヤーリソースを見極める
技術的なノウハウをすべて社内で保つといった考え方は、技術的な最新トレンドを自社製品に取り込めなかったり、そもそも自社では生産できなかったりするため現実的ではありません。重要なのは、企業の内外作や発注内容の決定は、将来の事業のあるべき姿と密接に関係している点です。
一時的に社外から確保したリソースでも、社内の負荷が下がったときに取り込めばよいといった考え方もあるでしょう。しかし社外に発注した場合、社内のノウハウは必ず減少します。サプライヤーへ発注を決めた瞬間から再び取り込むまでの経過時間によっては失われてしまう場合もあります。ものづくりのノウハウは、継続して生産してこそ維持発展します。失われるリスクを想定して、本当に社内に必要なリソースを見極める必要があるのです。(牧野直哉)