4-11適切なサプライヤーがいなかったらどうするか

サプライヤーから提示された見積内容と購入条件を比較検討した結果、対応できない条件が残ってしまう場合があります。バイヤーは適合していない条件を明確にして、個々に対策を講じなければなりません。

☆購入条件と見積内容の適合度の見極め

4-10で述べた、購入条件とサプライヤーから入手した見積内容の比較・確認の結果、購入条件に対応できないと判断する場合があります。複数サプライヤーに見積依頼を行い、適合する割合に差がある場合は、より適合度の高いサプライヤーへ発注すれば解決します。しかし複数のサプライヤーから入手した見積が、同じく適合度が低い場合、どんなサプライヤーでも同じと適合しないままにして発注してしまうと、大きなリスクを抱えたまま購入しなければなりません。適合性が低い=ミスマッチ部分はリスクです。以下の2つを同時並行的に行い、リスクの最小化に取り組みます。

①サプライヤーに見積内容の見直しを求める

見積に含まれていない理由を確認します。サプライヤーが所有するリソースにも関わらず、納期や、キャパシティといった優先順位の問題で見積に含まれていない場合、優先順位の見直しをサプライヤーへ申し入れます。そして購入条件を満たすリソースを所有していない場合は、購入側で対応し見積条件から除外、もしくはリソースをもつ新たなサプライヤーの採用を検討します。

②購入条件の見直しを、購入要求部門へ打診する

①の対応と同時並行で、購入条件の見直しを社内的に検討します。購入要求部門は、調達購買部門ほどサプライヤーのもつ能力に関する情報を持っていません。したがってサプライヤー能力を想定せず条件設定を行っているケースが多いのです。条件の重要度によっては除外できる内容もあるはずです。

調達購買部門は見積提出後のミスマッチの顕在化を避けるため、サプライヤーの能力確認を確実に実行します。この段階でミスマッチが顕在化した場合、リードタイムと希望納期を考えると、待ったなしの対応を迫られるケースがほとんどです。一刻も早い事態収束と同時に、再発防止へむけたサプライヤーリソースの確実な確認を実行します。

☆継続発注していても適合度を確認する

購入を継続する場合、発注条件とサプライヤー能力の適合性の確認を定期的に行います。発注を決定したとき、購入条件への適合性を確認したはずです。しかしサプライヤーのリソースが変化している場合があります。使用する原材料や生産する工場の大きな変更は、サプライヤーから連絡があるでしょう。しかし設備や担当する作業員といった要素の変更によって、購入品になんらかの影響を及ぼす可能性もあります。変更連絡を購入条件に含めて管理するケースもあります。連絡をもらったタイミングで適合性が継続しているかどうかを確認するのです。また長期的に発注が続く場合、想定される発注期間を通じリソースの確保が可能かどうかも確認を行います。確認と同時にサプライヤーへ継続性の確保を申し入れます。(牧野直哉)

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