先週の調達・購買担当者が見るべきニュース(5月18日~5月24日)

●2024年5月18日
都内ホテル、強まる値上げ圧力 英米と価格差鮮明

私は首都圏に居住しているので、都内ホテルに宿泊する機会は極めて限られるが、この記事を見てホテル宿泊予約サイトを見たり、東京に出張する人から話を聞いたりして、かなり驚いた。私が勤務していた会社で国内出張の宿泊費は、~1万円が上限。海外出張の場合は、ホテル宿泊費用の内外価格差への対応として、実費清算。実費清算できればいいが、日当の範囲内で従業員の裁量で宿泊先を確保する場合は、かなり苦労するのではないか。地方では数千円レベルのホテルであっても、2万円以上の値をつける例が多数見られる。グローバル化による内外価格差の修正なのか。日本のビジネスホテルは「寝るだけ」なら問題ないが、海外主要都市の一般的なホテルと比較すると、部屋の広さが大きく異なる。結果的に部屋面積換算では、世界一の価格になるはずだ。Web活用によって、出張の機会も減少しているかもしれないが、必要な直接面談の機会がホテル宿泊費の高騰によって控えられる事態を回避するための予算処置が必要だろう。宿泊機会のの多い地域は、特定のホテルに年間宿泊数を提示して価格を提示してもらってもよい。こういった事態にも、調達・購買部門でできることはある。

●2024年5月23日
ビル建て替え延期相次ぐ 建設業界、人手不足と資材高で 監督求人数10年で31倍 都市計画に影響も

昨年、工事現場で鉄骨落下による事故が相次いだ。また過去にはくい打ち深さ等、検査結果の偽装もおこなわれた。これらの真因の1つは人手不足だと考えている。当時と比較して作業実施環境が一段階悪化したことをこの記事では示している。誤解を怖れずに言えば、偽装をやってなんとか予定工程維持を目論んだ段階から、正しくプロセスを踏むと、工程が守れない事態が次々と顕在化している。今後建設業界だけではなく、他の業界でもどんどん顕在化が進むだろう。こういった事態に調達・購買部門として対処すべきは、自社「大手」発注先との関係維持・改善だ。こういった事態でもまだヒトを集めやすいのは、大手企業となる。したがって良好な関係をベースに、相手の都合や要望を踏まえて自社の発注戦略を構築する取り組み、言うなれば受注しやすい発注を、調達・購買部門/バイヤーの調整可能な部分で行うことが欠かせない。こういったサプライヤ側に寄り添う発注をしている企業はまだ少ないので効果があるはずだ。この考えには「そこまでやらないといけないの?」と思われるかもしれないが、これからこの傾向はどんどん強まる。

●2024年5月23日
「下請けいじめ」規制強化 価格据え置き防ぐ 公取委、法改正を検討

具体的な強化される内容は「円安や原材料の高騰などで物価上昇下で、価格の据え置きを強いる行為が下請法上の実質的な「買いたたき」」だ。現在の下請法では「一方的な値下げ」が、2022年に「価格交渉をしない」になり、2025年の下請法の改正で、実績価格での継続発注が「買いたたき」に該当すると報じている。

例えば、原材料費が値上げされても発注者と受注者双方の創意工夫によって、なんとか価格を上げない取り組みは、本来的には素晴らしい。しかしこういった取り組みより「値上げすればいいじゃん」と、尊い取り組みが失われるのではないか。感覚的には海外のサプライヤと国内サプライヤが意識的に同列になることを意味する。なりふり構わない政府/行政の打ち手に、将来的な影響など何も加味していないのだろう。調達・購買担当者/バイヤには、長期的な視野を忘れないでほしい。

未来調達研究所株式会社では、こういった情報を週一回、メルマガで発信しています。
【無料】御購読お申し込みはこちらから

あわせて読みたい