突っ込みどころには突っ込む!(牧野直哉)

サプライヤから見積書を入手した後の取り組みについて学びます。テーマは大きく2つに分かれます。まず見積依頼書に列記した内容が網羅された金額かどうか。提示された見積金額に妥当性があるかどうかです。

2つ目のテーマは、価格査定や査定結果を蓄積するコストテーブルに関する講義です。なぜバイヤに価格査定が必要なのでしょう。サプライヤから提示された見積金額に妥当性があるかどうかを判断するため。この先が問題です。多くのバイヤは、見積金額の妥当性を判断するため、サプライヤに見積明細の提出を要求します。しかしサプライヤから理由は様々ですが結果的に見積明細を入手できません。

ここでバイヤの対応は大きく2つに分かれます。1つは繰り返し粘り強くサプライヤに対して見積明細書の提示を求める方法。2つ目は、バイヤ自ら見積明細書を作成してサプライヤに提示する方法です。

見積明細書を要求した後、サプライヤ営業パーソンの取り組みを想定してみます。自ら見積明細書を作成しなければならないかもしれません。作成するだけでなく、作成内容が正しいかどうかを確認したり、作成内容を顧客に提示していいかどうかを上司に承認してもらったりといった作業も想定できますね。価格交渉を前提にすれば、整合性を兼ね備えた内容が必要であり、社内的なコンセンサスも必要。作成して内容確認、対応方針の調整と、なかなか骨の折れる作業です。見積明細が提示されないサプライヤが明細書を提出するためには、これだけの作業が必要なのです。

骨の折れる作業を行っても、価格交渉で見積明細書がマイナスに作用する事態も想定されます。サプライヤの営業パーソンからすれば、見積明細書を提示して得られるメリットはありません。だからこそ見積明細書が提出されないのです。バイヤは「サプライヤから見積明細が入手できない」が理由となって、価格査定が進まないのです。

だったら見積明細書をバイヤ自らが作成し、内容の是非をサプライヤへ確認する方が、主体的に話を進められるだけでも大きなメリットがあります。しかしここにも問題があります。バイヤが初めておこなう価格査定は正しいのかどうか。突っ込みどころ満載の結果かもしれません。しかし私は「突っ込みどころ」がとても大事だと考えます。

重要なのはバイヤ自ら満載の「突っ込みどころ」に答えを求めていくプロセスです。初めて価格査定を行っても、矛盾だらけの結果になるはずです。昨今の値上げ要求で提示された値上げ幅に、まったく納得がいかないといった状況もあるでしょう。バイヤが見積明細書を作成するために価格査定をおこなうのは、自らの査定結果でも、サプライヤの見積書に感覚的に納得できないポイントでも、論理的に整合性のある理由の追求が目的です。整合性に乏しい内容については、自ら追求すると同時に、サプライヤへ質問します。

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