これを知らない調達担当者は恥ずかしいよ(坂口孝則)

みなさん、突然ですが、有名人を呼んだ講演を企画するとします。たぶん60分とか90分と思います。いくらくらいかかるか知っていますか。この答えは難しく、5万円から200万円、と答えるしかありません。というのも、相場があってないようなものだからです。ただ、あえていうと、50万円が基準かもしれません。

なぜこの話をしたかというと、以前、有名な検索エンジン企業の担当者と話したところ、米国の文化人を呼ぼうと思ったら、なんと「800万円かかった」というんですね。しかし、その続きが面白んですね。英語を話すひとは16億人います。だから、日本の1億人とくらべて、16倍ですよね。だから50万円を16倍すると、800万円はおかしくないというのです。なるほど、グローバルで評価を受けたひとは、報酬が桁違いだとわかりますね。

ところで、話を、ちょっと移します。私は、ご依頼によって海外からの調達について企業研修をします。私が海外に出向くことも多いため、最新のトレンドをお伝えします。そんなとき、ある方から、面白い質問を受けました。「海外でいろいろと調べていると、セールスレップというひとに会いました。これはなんですか」と。

ご存知ないかたもいるでしょうが、海外調達の場合は、「メーカー直販」「セールスレップ」「ディストリビューター」経由の三つがあります。さすがに、グローバル時代ですから、この三つは知っておいてください。「メーカー直販」はわかりやすいのが、海外サプライヤから買うことです。そして、「セールスレップ」「ディストリビューター」の違いは、製品の所有権をもつか、もたないかにあります。

誤解を恐れずにいえば、「セールスレップ」は営業代行です。みなさんの会社に売ったら、手数料を製品価格の2割とか3割とかを得ます。あくまでも営業代行ですから、自分がいったん仕入れるのではなく、橋渡しだけです。

それにたいして、「ディストリビューター」は、いったん倉庫に仕入れて、そこから、みなさんに販売します。だから、一度、購入することで、製品の所有権を有しています。なので、「ディストリビューター」は、100万円で仕入れた製品を、たとえば500万円とかで販売する場合も珍しくありません。自らが在庫リスクを負っていますし、いくらで売っても自由だからです。

「ディストリビューター」からすると、自国内の何倍もの販売先をもっている場合があります。もちろん、いくつもの販売先をもっている「ディストリビューター」は強く、交渉もなかなか折れません。いっぽうで、「セールスレップ」は営業代行ゆえに、数人でやっている場合も多く、とりあえず売ろうとするケースが多いように感じます。

ただ、これはなかなか日本では考えにくいのですが、海外では「セールスレップ」を保護する法律が多いと知っておきましょう。つまり、最初だけ「セールスレップ」から買って、あとはメーカー直販に切り替えるとしますよね。そうすると、「セールスレップ」は、最初の橋渡しでそうとうな仕事をしたにもかかわらず、無残に取引が停止してしまいます。すると、「セールスレップ」は被害を受けるので、取引を継続するように、法律で縛っている国があるのです。

まあ、なんにしても、こういう基礎を学ぶことが大事ですよね。私はこれからも、基礎の重要性を語ろうと思います。

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