できる調達人材か一発でわかる「2つの質問」 (坂口孝則)

みなさんはiPhoneを買ったことがありますか。箱をあけるタイミングを思い出してください。すると、上の箱が、下の箱から、ゆっくりと離れていきます。上の箱を素早く引き離すことはできません。iPhoneの姿が見えるのは7秒後だそうです。

驚いたのは、この7秒が意図して設定されている点。アップル商品を買ってくれたひとに、ドキドキ感をもってもらえるように箱を設計しています。なんでも8秒だと長すぎてイライラするので、7秒でなければならなかったのだとか。この細部ゆえに人気なのだ、とまではいいません。ただし、細部への異常なこだわりに感心しました。

マクドナルドがマックシェイクを発売する際、最後の最後まで試行錯誤を続けたのはストローの太さだったようです。飲みにくくてはいけない。でも、すぐに飲み終わると物足りない。米国では長時間ドライブが普通ですから、できるだけ長い時間、マックシェイクを楽しんでほしい。その結果が現在のストローとなりました。

「あなたの仕事のこだわりはなんでしょうか」と一つ目の質問をしてみたいと思います。iPhoneの箱や、マックシェイクのストローのようなこだわりはあるでしょうか。私の知る限り、一流の仕事人たちは、細部へこだわったりや付加価値を考え続けてたりしています。現在、コロナ禍で通勤時間が減っているでしょうから、この時期こそ考えていただきたいのです。

しょうもない私のこだわりはいくつもあります。たとえば、原稿を書く際には、全文字数のなかで漢字の使用比率を28%以下に抑えるようにしています。読みやすい文章になるように自分に課したルールです。読者は気づかないでしょうし、私の文章が読みにくいと思う方もいるでしょう。ただ、細部にこだわることで、無意識であっても読者に届くのではないかと信じています。

次に、「あなたにしか付け加えることのできない仕事上の価値はなんでしょうか」とニつ目の質問をしてみたいと思います。ちょっとした内部とのやり取りや、外部との接触において、ただただ仕事を流し続ける担当者は多いものです。しかし、それではずっと業務に携わっても、自分しかできない価値を生み出せるはずはありません。

なお私は現役の調達部員だったとき「原価低減月報」を配信していました。たいしたことではありません。他部門で実施し成果の出たコスト削減事例をまとめてPDFにしていただけです。でも、関係者に送付するメールの末尾にリンクを貼ったところ、「この他部門の担当者を教えてくれないか」「ウチでも実施してみたい」といった連絡が相次ぎました。

なかなか他部門の方も調達部員に連絡するのはちゅうちょするものです。でも、連絡しやすくする工夫をすれば、それこそ仕事が広がっていきます。そうすると、情報も集まりやすくなります。さらに情報をまとめて分析して、発信する。いまだに同じようなことをしています。そのうちに、それが本業になってしまいました。

「あなたの仕事のこだわりはなんでしょうか」
「あなたにしか付け加えることのできない仕事上の価値はなんでしょうか」

一朝一夕に変わるものではありません。しかし、考え続け、行動を変化させれば、徐々に変わっていきます。一日、0.1%ずつしか実力が向上しないとしても、2年で倍になるのですから。

繰り返しになりますが、コロナ禍のいまだからこそ、自分のキャリアについて考えてみませんか。

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