これを知らないから太るんだと思います(坂口孝則)

私はよくサプライヤ工場に出向きます。すると、必死にがんばっている作業者がいる。アッセンブリー、溶接、プレス機のオペレーション、なんでもかまいません。彼らの、業務時間内でのカロリー消費量は500キロカロリーといわれます。なんと少ないことでしょうか。その他、仕事をしていない時間のカロリー消費を考えて、その3倍を消費するとしても、だいぶ、食事から摂取されるカロリーのほうが高いとわかります。それに、社会人になると、飲み会も多くなってさらに多くのカロリーを摂取します。そりゃ、大半のひとが社会人になってから太っていくわけです。

オフィスで働くひとのカロリー消費は、さらに少ないため、その傾向は加速します。そのために、過酷な通勤が、なんとかカロリーを消費させるのに貢献しています(これは皮肉ではありません)。面白い論を唱えているひとがいて、だからこそ、日本人は会議を重ねるのだ、と。つまり、本能的に、過剰摂取してしまったカロリーを発散させるために、必要でもない会議に出向いたり、遠方の面談に出向いたりする。スカイプでじゅうぶんなミーティングなのに、とりあえず行く。あるいは、相手を呼んでしまう。

だから、日本人の働き方改革は、まず、食事を制限するところからはじまります。もちろん、冗談です。

しかし、完全に冗談とも思えないほど、日本人の会議好きは過剰です。ただ、その消費カロリーも、ふたたび飲み会で台無しになってしまいます。

ところで、私は、なぜ日本では飲みニケーションといわれる文化がこれほどまでに蔓延しているのか興味がありました。とくに管理職の方々はけっこう飲むひとが多い。一般論でいうと、飲むと、問題の多い話や批判は聞きたくなくなります。細部にこだわらないようになり、判断は雑になっていきます。そして、明るくなる。思ったのですが、これって、日本で中間管理職が求められている役割と同じではないでしょうか。だから飲むのだ、とは強引なこじつけでしょうが。

カロリー消費と、アルコールによって、もはや見失っている「私」を取り戻す変革期にある、といってしまうと大げさでしょうか。冗談のように書いてきましたが、「過剰に太る」「業務のなかで、ただただ慌ただしくする」というのは、バランスを欠いているように思います。

実は、そろそろ、「あれ、私はなんのために働いているのだろう」と立ち止まって考えるタイミングではないかと思います。見積書を取る、交渉する、会議、会議、会議、書類作成……といった日々を重ねるだけで、気づいたらぽっこり出ているお腹を眺めながら。

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