サプライヤトラブル対処法13(牧野直哉)

事例:新たに取引を開始するサプライヤから、標準よりもよい支払い条件を要求されました。やむを得ず取引開始後3ヶ月間のみ特別条件として受入して取引を開始しました。しかし3ヶ月経過後、さらに9ヶ月間延長要求されました。他に購入できるサプライヤもなく、完全に足もとを見られている状態です。
標準支払い条件:月末締め翌月末120日サイト手形払い

・支払い方法について
対処には、2つのポイントがあります。

①支払サイト~受け入れてから支払いまでの期間
調達・購買取引における下請法(正式には下請代金遅延等防止法)は、サプライヤからモノやサービスを受け入れてから60日以内に支払うと規定されています。一般的な日本国内の商取引における掛取引(会社同士で大量に取引を行う場合は、毎回現金で支払わず、1か月分の取引金額をまとめて後払い)場合を想定しています。ある月の1日に受け入れて翌月31日支払いでも「受領日が属する月の)月末締め翌月末払い」という支払期日であれば、下請法違反ではありません。

②支払方法による現金化までの期間(手形・ファクタリングサイト)
支払方法は

・現金払い(一般的には振込)
・約束手形及びファクタリングによる支払い

があります。月末締め翌月末払いであっても「約束手形及びファクタリングによる支払い」の場合、現金で満額受け取るには、一定期間経過が必要です。私の経験では、120日から長い場合には360日といった経過期間がありました。120日以上の経過期間は下請法違反です。主に下請法対象企業ではなく、発注内容が海外のプラント案件の場合に、非常に長い手形・ファクタリングサイトが設定されていました。

支払して現金化までの期間は、発注企業の運転資金負担を一部サプライヤが肩がわり負担するためです。プラント案件など、顧客からの入金が数年先といったケースもあります。モノやサービスとともに、運転資金も一部サプライヤに負担をお願いするものです。
 
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