サプライヤトラブル対処法9(牧野直哉)

事例:低頻度購入品の価格変動対応
購入品の中には、数年に一回の頻度で買う品目がある。見積依頼を行うと、原材料に起因する大幅値上げを通達ベースで知らされる。価格見直しを申し入れる/臭わせても、相手にされず、サプライヤの通告ベースの大幅値上げを、飲まざるを得ない

対応策2:中長期的対応
こういった事態を中長期的にどのように対処するか。よくよく考えると、精度は別にして、バイヤ企業では売上計画を立案していますね。また社内設備では予算計画を立案しているはずです。そういった社内関連部門が立案した計画をベースに、調達・購買部門でも年間計画を立案しているはずです。

しかし調達計画は、購入頻度が高かったり、購入量の多い品目に特化していたりする場合が多いようです。円滑な事業運営を念頭に置いて、限られた時間を有効に活用するためには、これまたやむを得ませんね。しかしバイヤからみたサプライヤから突然の値上げ要求のインパクトを和らげるためには、調達計画の対象範囲を拡大します。

社内関連部門で立案した計画を元に、低頻度であっても購入する確率が高ければ、あらかじめ次の2点を年1~2回程度、サプライヤへ連絡します。

・前回xx年xx月に購入した品目が、今年度にもxx月ごろに購入予定があること
・前回対比で購入条件(QCD)に大きな変動がある場合には、あらかじめ連絡がほしいこと

こういった連絡によって、まずサプライヤから突然、好ましくない条件連絡をうける事態に対して、「事前に聞いていたのに何で?」と、購入条件交渉スタートの起点を少しバイヤに有利にします。こういった事前連絡が「やぶへび」になるといった危惧もあるでしょう。しかしこういったサプライヤへの事前連絡によって、値上げや調達リードタイム長期化の示唆があれば、営業部門に「従来と同条件で受注すると、対応できない可能性が高い」といった注意喚起が可能になります。

購入頻度が低い=売上全体への影響度は小さいはずですね。しかし購入条件でもめてサプライヤと同意できなければ、対応に膨大な時間を要します。それでなくとも、次々と新たな課題が到来している今、事前にできることは対処して日常的にリスクヘッジ志向で業務を進める必要があるのです。

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