サプライヤトラブル対処法6(牧野直哉)
●サプライヤとまず共有すること
サプライヤで発生したトラブルの収拾では、発生源であるサプライヤにおける現状を正しく把握しなければなりません。サプライヤ社内の様々な部門の担当者が「正確な情報を顧客(バイヤ企業)へ届ける」使命感をもって対処する。これは基本的には素晴らしく好ましい取り組み。しかし自分の人脈・人間関係からの問い合わせに対応したり、みずから情報を発信したりして生じる混乱が問題なのです。個人で対照すれば発信する情報の内容の鮮度が相前後したり、正確性が確認できていなかったりする場合も十分に想定可能です。そういった使命感には、まずバイヤとして敬意を表します。姿勢そのものは素晴らしいのです。
しかし発生している状況に関する情報と同時に、いやそれよりも先に情報展開の方法について、バイヤ企業内と同様にサプライヤ社内でも実践を強く申しいれます。トラブル発生時は、なにより情報によって混乱が生じます。したがって、サプライヤ社内でも情報収集、収集情報による意志決定、情報展開のプロセス設定と、情報授受の窓口設定をおこないます。狙いは、バイヤ企業とサプライヤの情報ルートの1本化です。この取り組みによって、情報展開の漏れや遅延が発生しても、漏れや遅延の事実もすぐに全体に展開可能です。
具体的には、バイヤ企業に情報発信するサプライヤ窓口を決めます。バイヤ企業の窓口と共に、トラブル収拾へ向け、太いパイプを築いて、まずは情報「混乱」状況からの脱却を目指し、早急な対応を心がけます。