サプライヤトラブル対処法7(牧野直哉)
前回まで、バイヤ企業、サプライヤともに、社内と双方へ情報管理について述べました。情報を一元化して、関係者には共有してこそ、トラブル解消を目指した全社的な取り組みが、サプライヤと共同して実践可能になります。
ここで、一元化した情報の展開方法について考えます。すでにインターネットによるPCやスマホの常時接続は当たり前ですね。ポイントは、PCやスマホを使う人=関係者がPCやスマホ、インターネットを介して、どのように情報共有を実現するかです。
書類やメールでの情報展開に加えて、ビジネスチャットやWeb会議を含めて、コミュニケーションツールは増えています。これは日常業務でも言える話ですが、人間の一日の時間は、誰しも同じく24時間です。したがって、新たなコミュニケーション手段が登場しても新たな手段分時間が増えるわけではありません。既存の手段に費やしていた時間を減らす必要があるのです。 したがって、まず社内の関係者の誰もが漏れなく使用している手段をメインにして、複数の手段を組み合わせて情報展開を実践します。このブログと同じような活字情報は、
①FAX
②メール
③チャット
の手段が想定できます。①FAXは、同報機能があるものの、発信の手間や複数人での情報共有の手間には難あり。トラブル対応の情報共有手段としては除外します。③チャットは、即時性や双方向性、そしてテキスト情報が記録される観点では非常に有効なツールです。しかしサプライヤまで含めた普及度や担当者の慣れでは、メインツールとして使用するのは、すこし躊躇します。したがって②メールが普及度や慣れの面でもっとも適しています。メールは読み手=受信者が読みに行く=受信ボックスを空ける手間は発生します。すでにビジネスの現場で一般化して30年近く経過しますので、情報共有化にはもっとも適した手段といえるでしょう。何もかもメールというわけではなく、トラブル発生直後の緊急期、数日に一回の頻度で、顔を見ながらの会議やWEB会議や、個別・詳細のテーマにはチャットを交えて対処します。
メールを主な情報展開手段にするとして、トラブル発生直後の情報展開頻度としては、朝と夜、始業時と終業時の2回、最新情報を関連部門に展開します。朝のメールには、その日に予定された取り組み、夜のメールには、予定された取り組みの消化状況といった内容を基本とします。加えて何か大きく影響する事象が発生した場合は、都度発信します。
発信するとき、重要なのはメールの題名です。「XXXX株式会社トラブル 第1報」といった形で「第1報」の数字の部分を発信の都度、更新します。この題名とメール履歴のソート機能を活用すれば、メール受信ボックスでトラブル発生からの対応が時系列に並び、後から活用が可能です。トラブル発生から収束、再発防止策までの流れを網羅して理解する、報告書の作成にも役立つデータベースになるはずです。