ほんとうに辛かった調達コンサルの話(坂口孝則)

調達・購買コンサルタントをしていると、ほとんどのひとたちは、熱心で丁寧です。私にコンタクトいただけるくらいなので、勉強もなさっています。逆に勉強になる機会があります。しかし、ごくまれに、「変える気もないし、変わりっこない」という態度で接する方もいます。

私は不思議なのですが、「変えたい。だから、サポートしてほしい」という前提があって、コンサルタントとともに、唸りながら、苦しみながら打開策を考えるわけです。しかし、なぜ「変える気もないし、変わりっこない」と思っているのにコンサルタントを依頼なさるのか不思議です。ただ、そういう組織でも、トップはしっかりとした軸をおもちで、変革の意欲もあるケースがほとんどです。その想いが部下に届いていないのです。だから部下は死んだような目をしている。

一日のうち、寝る時間以外はほとんど会社で過ごします。だから、なにか面白いことをしたほうがいいと私は思います。しかし、給料さえもらえればそれでいいと考えている社員は一定率います。さらに足を引っ張ろうとします。

あるときミーティングがあったですが、先方の調べるべき宿題は何も進んでいませんでした。よって、残念ながら、その日は、ほとんどすることはありませんでした。きっと私の進めかたが悪かったんでしょう。そういうと、「たしかに」といわれました。「重要性がわからない」と。しかし、それならば、それまで何日間もあったはずです。ご質問のメールもありませんでした。すると「やっても意味ないでしょ」といわれました。ならば前回の場で反論なさったらいいのに、というと、「その場には上司がいたから面倒だった」と。

私はその数日後に部長さんと飲みにいって、そのプロジェクトをやめたほうがいいと伝えようとしました。もちろん、お金などもう要りません。やはり、「変えたい」というひとがいて、その意思にコンサルタントはサポートするのが普通と思うからです。

すると、その部長さんは突然、涙目になって「いや、それはすまなかった」と謝罪なさいました。部長さんの責任ではないにもかかわらず、です。「いやあ、どうにかして変えたいと思っているんだよ。なかなか上手くいかなくてね。仕事の面白さを少しでも伝えたいと思っているんだけれど」と続きました。私は反応できませんでした。しかし、その想いに打たれて、そのプロジェクトをやめましょう、とはいえませんでした。

マンガや小説やドキュメンタリーならば、私はここで「その翌日から部長の想いを一人ひとりに説いてまわった。そうするうちに、部員の目が変わりはじめ……」と書きたい衝動に駆られます。しかし、現実は、さほど上手くいきません。たしかに数人は前向きになってくれた気もしますが、やはり1年のつきあいでは、組織の意識を全面的に変革するにはいたらなかったように思います。

ただ、私は部長さんだけでも、このように真摯に考えているかたがいたので、なんとかしなければと思いました。そして、なんとか調達・購買業務を変えるお手伝いができないかと思いました。

そして、この読者のなかにも、一人で奮闘している「孤独な」かたがいるのではないかと思います。誤解なさらないでください。私にコンサルティングを依頼してくれ、という話ではありません。予算の問題もあるかもしれません。また、依頼する立場にいないかもしれません。また、社内のルールで、コンサルティングを依頼なさるのが難しい場合もあるでしょう。

そんな場合であっても、私は遠いところからみなさんを応援しています。そしていつかお会いした際には、みなさんの奮闘を教えてください。

がんばっても、調達・購買業務は変わらないかもしれない。でも、あなたが奮闘しなければ、絶対に変わることはありません。街に出なければ事故にも遭えないのです。

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