仕事のできない調達部員は事実が何かわからない(坂口孝則)

このところ、面白い相談がありました。某社調達部門長からです。ハッキリとはおっしゃっていませんが、「仕事をしない社員に何をさせればいいか」というもの。いや、以前からその社員は仕事をしていなかったのですよ。ただ、在宅勤務が開始されてから、各社員のアウトプットが見える化されました。在宅勤務だと、オフィスにいないので「仕事をしているフリ」ができませんからね。

「Windows95」という単語を知っていますか。窓際で仕事をしていないのに950万円の収入を得ている年配社員のことだそうです。笑ってしまいました。会社によっては「Windows2000」(仕事をしていないのに2000万円の収入を得ている年配社員)なる単語もあるそうです。

私は返信に困りながらも「データベースの整備などはどうでしょうか」と答えています。日本企業は社員の解雇が事実上は難しいので、社員を有効活用する必然があります。そこで、思い出すのは、ニトリ創始者の似鳥昭雄さんに取材したときのことです。ニトリは増収増益の決算を発表しましたが、私が驚いたのは、似鳥さんが誰よりも企業の指標に答えてくれたことです。

たとえば、「この店舗の坪当たり売上高はいくらですか」と訊いたら、ただちに具体的な数字が返ってきました。「数字で語れないものは趣味にすぎません」と断言なさるほどです。だから調達業務のデータベース整備は冗談ではありません。

くわえて、これから重要になるのは、世界で何が起きていて、それが自社の調達環境にどのような影響を及ぼすかを分析することです。

私は調達部員のときに「原価低減月報」という月度報告書を発行していました。これは単純で、「その月に各部門が実施したコスト削減策」や「知っておいたほうがいい調達ニュース」をPDFにまとめて社内関係者に送付するものでした。部門を横串で見られるのは調達部員しかいません。他部門でどのようなコスト削減策を実施しているのかを知るだけでヒントになります。それに、意外に世界の動向は他部門は知らないものです。それをまとめて月に一回ほど送るだけでもかなりの価値があります。

英語のサイトで恐縮ですが
・supply chain dive
・Industry Week
といった情報を引用して気になる記事をまとめるだけでも、社内唯一の情報通になることを保証します。実は私の情報源も、ここにあります。なお、URLを記載するとスパムになる可能性がありますので検索してみてください。世界の情報がここにあります。

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