調達の現場でとても悲しく思ったこと(坂口孝則)

*新型コロナウィルスはで企業業績に大きな影響を及ぼそうとしています。現場ではいまこそ一致団結せねばなりませんが、うまくいっていません。このところ感じることを書きます。

部門間連携の必要性が高まっているのに、組織の壁は高くなり

担当者が考えるべき範囲は広がっているのに、一人ひとりの
裁量は狭くなり定型業務しかやらせてもらえず

業務システムのスペックは速くなるが、組織の意思決定は
遅いままで、新しいことが何一つ進まず

「新たな発想を調達業務へ!」と上司は叫ぶが、部下は提案を
受け付けてくれない組織にウンザリして愚痴が出る

ソーシャルディスタンスどころか、テレワークの推進で、
社員間の心理的なディスタンスは広がるばかり

Teamsなどが進化しても、同僚のことすらよく知らず

テレビ会議は広がったが、画面で見ているのは皆
自分の画像ばかり

コンプライアンスの名のもとに、誰もが本音を話さず

CSRを叫ぶ上司からは、社会的意義が感じられない

AIだRPAだと叫ぶ組織は、部員の仕事量を多くするばかり

働き方改革は、個人から自由を奪うだけの結果となり

「取引先を含めた繁栄を!」と叫ぶ上司の方針は、
あきらかに昨今の根拠なきコスト削減依頼と矛盾する

この未曾有の危機を乗り切ろう、と叫ぶ上層部からは
明らかに現在をやり過ごそうという保身しか感じられず

脱印鑑の稟議を、多くの印鑑を押した書類で回しつつ
業務改革プロジェクトのくせに無駄な会議ばかり重ねている

働き方改革の結果が、心の病の増加

ダイバーシティを語る部長こそ、他部門と仲が悪い

SDGsやESGもいいけれど、その前に
部員が職場で働き続けたいような環境整備は無視されて

三密回避ばかりで、部員間の心理的密接度も広がるばかり

コロナ対策で飲みに行くなとトップは言うけれど、
トップだけは飲みに行っていることを誰もが気づいている

そこで、私は、こう思うのです。いま必要とされているのは、難しい単語の施策とか、業務改革だとか、かっこよさそうなカタカナのシステムなんかより、本音を話すことじゃないでしょうか。「正直にいえば、こう思います」。「間違っているならいってください。でも、私はこう信じています」。

コミュニケーションとは勇気のことです。調達とは机上の空論ではなく、その瞬間、その瞬間におのれのすべてをぶつけながら、甘ったれた自分の仕事観を覆し続けていく試みでもあると私は思うのです。

私は企業の外部から支援する立場です。しかし、いまこそ真の意味での部門間連携が求められるタイミングはないと感じます。くだらない部門間のプライドや軋轢を超えて、部門間をつなぐ「覚悟」をもってほしい。そういった人たちが増えることを願ってやみません。

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