【必見】絶望的な調達というキャリアとその対策(坂口孝則)
この文章を書いている時点で、日本の完全失業者数は195万人です。しかし、驚くことに休業者数は236万人もいるんですね。休業者とは、雇用されているけれど給料だけをもらっているひとです。他国だったら失業している数字が、失業者には含まれていません。ということは、この休業者数が景気によっては、失業してしまうかもしれません。
コロナ禍では、どうしても自分の人生やキャリアを考える機会が増えています。自社がどうなるかわからないし、産業の将来やキャリアも不透明です。
ところで、先日、ビジネスミーティングを行いました。細部は書けないものの、「これからのビジネスパーソンのセカンドキャリアは、企業の顧問として働くことではないか」という話がありました。顧問というのは、社長とお茶を飲みながら雑談するわけではありません。そんなことにお金を払う余力のある企業は消えています。私も顧問で依頼を受けているので間違いありません。そうではなく、具体的な困りごとを一緒に解決してくれる存在です。
これをお読みになっている40代、50代の方はどうでしょうか。実際に現在では、顧問登録ができ、派遣してくれる人材バンクも多数あります。20代、30代の方も、近い将来のリアルとして考えるべきです。それに、顧問じゃなくても、関係会社や取引先で働く可能性がありますからね。
私は「なるほどね」と思ったので、さっそく、知り合いの社長たちに訊いてみました。「企業の調達人員を顧問として迎え入れるとしたら?」。結果からいいますと、さんざんな結果でした。
「あのさ、結局、調達の人って、何ができるわけ?」
「調達の出身者が入ったら、何が改善できるわけ?」
「基本ができていない人が多いからなあ……」
といったご意見でした。
それでも、しつこく質問すると、次でした。
・収益(売上)アップか報酬以上の原価改善ができること
・顧客の紹介等ができること
・大企業の文化的な良さや仕事の進め方を伝授できること
市場は冷徹に人材の価値を査定しますからね。ところでみなさんはご存知ないかもしれませんが、中小零細企業の3割はメールすらも導入していないため、大企業の当たり前はかなり価値があります。
そして、具体的な分野を上げるなら次でした。
・製造現場の自動化や効率化
・業務効率化
・AI、IoTの活用
・ISO取得の補助等
・OEM先、調達先の開拓
・新規事業開発
・新規販売先開拓
・データ分析
人材の能力に3層あるとします。「業務の基礎力」「マネジメント力」そして「他の調達人材ができない何か」。そうすると、最初の2層はセミナーや実務で磨かれるかもしれません。しかし、3層目は、かなり意識的にならねばなりません。
でも、絶望からはじまるのはいいことですよ。取引関係のある外部のひとがいるとします。そのひとに「私を雇ってくれますか?」「顧問として迎え入れてくれますか?」と訊いたら、とたんに厳しい評価を聞けるでしょう。意識して自分を高めるしかありません。そして結果として研鑽が、目の前の仕事にも深みを与えるでしょう。少なくとも、「自分のことを欲しい、という企業が出てくるとしたら、私のどこに惹かれる可能性があるか」と自問するのはムダにはなりません。